エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1153
2022.06.09 更新
文:撮影・こまめ
「UL Procyon」はアドビのクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストだ。このテストでは重いデータや高度な処理を行なうため、ハイアマチュア/プロ向けの作品作り向きと考えられる。比較用のデータは前述の「PCMark 10」と同じくエントリーGPU搭載スタンダードノートPC(Intel Core i7-11800H/16GBメモリ/1TB NVMe SSD/NVIDIA GeForce RTX 3050、比較機①)と、ミドルレンジゲーミングノートPC (Intel Core i7-11800H/16GBメモリ/512GBB NVMe SSD/NVIDIA RTX 3060、比較機②)の2機種だ。
「Photo Editing Benchmark」は画像加工に関するテストを行なう。「Image Retouching」は「Adobe Photoshop」メインでメモリとGPUの性能が影響しやすく、「Batch Processing」は「Adobe Photoshop Lightroom Classic」メインでCPUとストレージの性能が影響しやすい。「Video Editing Benchmark」は「Adobe Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間が計測される。こちらの結果は総合スコアのみだ。
このテストでは、Lightroomメインの「Batch Processing」で非常に優れた結果となった。スコアはミドルレンジGPU搭載機を上回るほど。高いCPU性能は、写真の加工や現像に有利なようだ。Photoshopメインの「Image Retouching」はスコアがやや低いものの、遜色ない結果と言える。Premiere主体の「Video Editing Benchmark」ではGPUのランク差がそのまま現われる結果となった。全般的に優秀な結果で、クリエイティブ用途では十分活用できるだろう。
バッテリー駆動時間は、公称値で最大7時間とされている。これは「JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.2.0)」に基づく計測結果で、あくまでも目安としての数値。実際の駆動時間は、公称値よりも短いことが多い。
そこで「PCMark 10」の「Modern Office battery life」で実利用における駆動時間を計測したところ(電源プランは「バランス」で画面の明るさは40%に設定)、6時間でバッテリー切れとなった。公称値よりも短いものの、ハイパワーなノートPCとしては十分な結果と言っていい。ただ外出先でガッツリ利用するなら、電源アダプターや大容量のモバイルバッテリーを持ち歩きたい。
MSIの「Prestige 14」シリーズは、以前のモデルから軽量コンパクトでパワフルだった。筆者は第10世代搭載の2020年モデルと、第11世代搭載の2021年モデルを検証しているが、いずれもその小ささと性能に驚かされてきた。だが今回の2022年モデルのインパクトは、これまでのモデルをはるかに上回る。ワンランク上どころか、一気に2~3段階パワーアップしたと言っていいだろう。
本体の熱がやや高い点やバッテリー駆動時間がそれほど長くないなど、気になる部分はある。だがそれでも、コンパクトな筐体に似つかわしくない高いパフォーマンスは大きな魅力だ。熱もバッテリーも運用しだいでなんとかなると思えば、「Prestige 14 A12シリーズ」を選ぶ価値は十分にある。性能と持ち運びやすさを重視する人は、ぜひ検討していただきたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社