エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1156
2022.06.18 更新
文:撮影・藤田 忠/編集・エルミタージュ秋葉原編集部
各種ベンチマーク結果からも分かる通り、素晴らしいパフォーマンスを発揮したCore i9-12900KSとGeForce RTX 3090を組み合わせたゲームPC。そんなウルトラハイエンドな構成を活かすために、メインストレージには7,000MB/secクラスのPCI-Express4.0対応NVMe SSDをチョイスしたいところ。
ただし高速なSSDは容量単価が高いことから、別途データストレージとしてHDDを併用している人も多いことだろう。低コストで大容量なHDDは、大量のデータを保管するには適しているが、ゲームのインストール先としては転送速度が遅く、起動やロード時間が長くなるという欠点がある。理想はメインストレージを使用することだが、最近ではゲームデータの肥大化が進み、500GBクラスの製品ではそれも難しいのが実情だ。
さまざまなデータが低コストで大量に保管できるHDD。そのメリットを活かした使い方が大事だ | アクセス速度は向上しているが、リード・ライトともに100~200MB/secで、NVMe M.2 SSDには遠く及ばない |
そこで本稿では、最高峰CPUの一角であるCore i9-12900KSベースの検証機を用意し、ゲームデータをインストールする「データストレージ」に着目。そのパフォーマンスを検証していきたい。検証にあたり、本稿でソリダイムブランドのSSDをチョイスした。エルミタ的に初めて取り上げる「Solidigm(ソリダイム)」は、SSDの一時代を築きあげた、IntelのNANDフラッシュメモリ部門が”SK Hynixの資本により”新会社として再始動したブランド。パッケージや製品型番などの名称はIntelのままだが、AmazonなどのIntel SSDの製品ページは、ブランド名がソリダイムに変更されている。
Intelからスピンアウトして作られた新たなSSDメーカーが、ソリダイムだ。本社はシリコン バレーに置かれ、日本法人の「ソリダイム・ジャパン」も設立されている |
DRAMシェアトップで自社ブランドのNVMe SSDも販売しているSK Hynixと共同開発されたソリダイムブランドの新製品が登場するのは、まだ先になりそうな情勢。しかし、Intelブランドで販売中の製品サポートなどは、スムーズにソリダイムに移管され、国内向けのユーザー対応はもちろん、Intelブランド NAND SSD向けアプリケーション「Solidigm Storage Tool」の提供も行われている。サポート面ではSSD専売メーカーとなったことで、Intel時代よりも手厚くなる可能性大だ。
Intelからスピンアウトした新会社ではあるが、Intelのサイトから「Solidigm Storage Tool」をダウンロードできる |
このソリダイムから選んだのが、BTO PCの標準ストレージとして採用するメーカーも多い「SSD 670p」だ。Intelから2021年4月に発売された PCI-Express3.0(x4)対応NVMe SSDで、コントローラーにSilicon Motion「SM2265G」、NANDフラッシュメモリに144層3D QLC NANDを採用。256MBのDDR3LキャッシュとSLCキャッシュを搭載している。SLCキャッシュは2TBモデルなら24GB、1TBモデルなら12GBと総容量の1%を高速なSLCキャッシュとして使用できるほか、全容量の14%を可変SLCキャッシュ領域として利用するようになっている。
残念ながら、ソリダイムのサイトは現状日本語表記には対応していない |
容量は512GB、1TB、2TBの3モデルで、シーケンシャル速度はリードが最速3,500MB/sec、同ライトが最速2,700MB/secとなる。そのほか、書込耐性は185TBW~740TBW、MTBFは160万時間で、製品には5年保証が提供されている。各社から続々と登場している最新モデルと比べると、どうしてもスペックは1歩譲ることになるが、 ソリダイムに移管しても変わらない Intelならではの高い信頼性は魅力的だ。実勢売価もデータストレージにおすすめの容量1TBで、税込12,800円と手ごろな価格に収まっている。今回は「ソリダイム(旧インテル) SSD 670p」シリーズの最大容量となる2TB「SSDPEKNU020TZX1」を使って、最高峰ゲーミングPCのデータストレージとしての実力を試していこう。
パッケージはIntel SSD 670pのままで、ソリダイムの記載は見当たらない | パッケージのラベルなども、そのままで型番もIntelと同じだ |
SSD本体は、ブリスターパッケージに収められていた | 「CrystalDiskInfo 8.16.4」の結果。転送モードはPCI-Express3.0(x4)で、NVM Express1.4準拠になる |
ここからは「ソリダイム(旧インテル)SSD 670p」の2TBモデル「SSDPEKNU020TZX1」を眺めていこう。2TBモデルも1TB同様に片面実装で、製品表面にはスペックシールが貼り付けられている。フォームファクタは標準的なM.2 2280でヒートシンクレス設計となるため、マザーボードに標準搭載されているヒートシンクまたは別売りのM.2 SSDヒートシンクを取り付けて使用することになる。
右端にコントローラ、中央にDRAMキャッシュが配置され、左端に2枚のNANDフラッシュを搭載する |
コントローラはSilicon Motion「SM2265G」を採用 |
2枚の144層QLC 3D NANDフラッシュを搭載 | キャッシュメモリは、動作クロック1,866MHzで容量256MBのNANYA製DDR3L「NT5CC128M16JR-EK」を搭載 |