エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1159
2022.06.24 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次にグラフィックスカードを搭載する。検証には長さ319mmのグラフィックスカード、GIGABYTE「AORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10G」を用意。VGAクーラーに3基の冷却ファンを搭載させたMAX-COVEREDクーリングシステムを採用し、側面にLCDモニタを内蔵するギミックで知られている。カード厚70mmのハイエンドグラフィックスカードは、どのように収まるのだろうか。
独立した拡張スロット金具を外すと、シャーシ側はブリッジレスだった。採用例も多く、金具厚の微妙な違い(誤差)を吸収してくれる。枠を無くす仕様は、ほとんどが2スロット(時に3スロット)占有グラフィックスカードになった所に由来。工作精度だけでは解決できない部分の”緩和策”としても有効な設計といえよう |
公称値長さ345~370mmとされるグラフィックスカードの有効スペースに、319mmのAORUS GeForce RTX 3080 MASTER 10Gは問題なく搭載ができた。カードの延長線上にある27mm厚ラジエターまでの距離は、実測で約55mmほど確保できており、物理的干渉の心配は全くない。決して大型ではないミドルタワーPCケースのN127だが、収納力の高さを知った。
グラフィックスカードの固定は、PCケース内部からのインチネジ留めを採用。自作PCでは最もよく使用される六角ネジで、重量級カードをしっかり固定しよう |
ちなみに有効スペースの数値について触れておこう。拡張カードスロット固定金具(内側)からN127フロントパネル(内部)までの距離を測ると、実際には約400mm弱だった。計算上、ここに27mm厚のラジエターを搭載すると、単純計算では残り有効スペースは373mmになる。公称345~370mmからは多少(プラスの)誤差があるものの、電源ユニット搭載スペース同様、多少のマージンを取った数値を開示している事が分かる。
最後にVGAサポートステイも取り付けてみた。シチュエーションによって見合った取り付け方法が選択できるあたりが、VGAサポートステイの良好な利便性。今回はPCIe電源ケーブルが邪魔をするため”都合のいい方向”にステイを設置。重量級のグラフィックスカードをシッカリと支えてくれている。
シチュエーションによって見合った取り付け方法が選択できるあたりが、VGAサポートステイの良好な利便性。今回はPCIe電源ケーブルが邪魔をするため”都合のいい方向”にステイを設置。重量級のグラフィックスカードをシッカリと支えてくれている |
星雲に浮かぶ星々のように輝く「Nebula」ライティングとはどういうモノか。派手なフレコミは光モノがやや苦手な筆者にとってそう興味をそそるものでは無かったが、実際に電源を入れると「まぁ綺麗」。斜めからだと単純なドットが、正面に近付くにつれ奥行きのある発光に変わる視覚効果が面白い。立体的な発光の仕掛けと言えば、オールインワン型水冷ユニットの水冷ヘッドでの採用例が思い浮かぶ。今となっては珍しくないのかもしれないが、「Nebula」ライティングはとびきり綺麗に映った。
美しい発光に惑わされず、PCケースとしての出来映えについて触れると、やはり以前検証を行った101の面影をそこかしこに感じた。さらにバリエーションモデルでも、電源ユニットをトップマウントにして、マザーボード右横のスペースにラジエターを設置する”あのスタイル”も思い浮かぶ。設計自体は決して新しくはないが、熟成された感はある。企画段階からCPUやチップセットの世代は進化し、それに見合った改良も必要になってくるだろう。その辺りがIn Winの課題でもある。
ともあれ、フロントが派手な割に色の濃い強化ガラス製左サイドパネルのおかげで、内部の発光パーツはギラギラすることなく、ほどよい光を楽しむ事ができる。多少雑な配線が隠れるのは都合がよく、思いのほか品の良いPCを組み込む事ができそうだ。そしてIn Win製筐体に共通する高い剛性は、同一価格帯の製品よりもひとつ抜き出ている。”カクカクした”丸みを帯びないデザインも、それを後押ししている。
協力:In Win Development
株式会社アユート