エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1166
2022.07.08 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
狭小な筐体を採用する「DeskMini B660」には搭載できるクーラーも限られることから、マザーボード側の設定でPL1(Processor Base Power)は65W、PL2(Maximum Turbo Power)は75Wに設定されていた。今回の検証ではIntel純正のクーラーを組み込んでいるが、はたして高負荷時にはどのような挙動を示していただろうか。長時間のストレステスト「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を実行した際のデータを見ていこう。
リミット設定が65W/75Wに制限されているのは、Package Powerが60~70W程度で推移していることからも見て取れる。フルロード時の動作クロックは概ね3,800~3,900MHzを維持できており、マルチスレッド処理時の挙動としては十分だ。「DeskMini B660」は環境に合わせたリミット設定を選択することで、無理なく可能な限りのパフォーマンスを引き出すことができている。
また、CPU温度も70~80℃台半ばに抑えられている点は、通気性に優れた筐体設計も影響しているだろう。その分高負荷時には全方位から動作音が漏れ出てくるものの、それでも騒音値は最大47dB。環境騒音としては静かなオフィスや換気扇レベルであり、デスク上に設置してもそれほど気にならないはずだ。
各種検証の締めくくりとして、最後に「DeskMini B660」の消費電力を確認しておこう。負荷テストとして「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を実行した際の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時としてワットチェッカーによる計測を行った。
アイドル時は28Wと、さすがのエコ動作。高負荷時もTDP65WのデスクトップCPUを搭載して最大107Wであり、コンパクトマシンの見た目を裏切らない省電力動作だった。付属のACアダプタは120Wのため、それほど余裕があるわけではないものの、過度な心配は無用。常時最高負荷がかかる用途に使うマシンではないため、マージンは十分確保されていると考えるべきだろう。
昨今のテレワーク需要は落ち着いた印象があるが、店頭ではその影響を感じさせないほど小型PCが売れ続けている。その中でもデスクトップ向けCPUが使える異色の「DeskMini」シリーズは、サイズ感以上のパワーを実現してくれる“小さな巨人”として、一際高い人気を誇る製品。リリース前から第12世代Intel Coreプロセッサ対応モデルを待望していたという小型PCファンは多かったはずだ。
今回の検証においても、マルチスレッド性能にやや影響はあったものの、Core i5-12400の性能はしっかり引き出せていた。この手の製品では定番のモバイル向けCPUとは段違いのパフォーマンスであり、性能重視の小型PC党を十分に満足させてくれるだろう。
ちなみに今回はIntel純正クーラーを使用した環境だったわけだが、ロープロファイル仕様の高性能クーラーを組み合わせつつリミット設定を見直して、さらなるパフォーマンスアップを狙うという手もアリ。冷却環境次第では、より上位のTDP(PBP)65W対応CPUを搭載しても、その性能を引き出すことができるだろう。
そしてどうしてもCPUに注目してしまいがちになるところ、優れた拡張性も「DeskMini B660」の魅力。PCI-Express5.0対応の次世代SSDをはじめNVMe SSDをデュアル搭載できる2基のM.2スロット、同じく2台が組み込める2.5インチベイ+SATAポート、さらにWi-Fi 6対応モジュールも搭載できるなど、注目機能はデスクトップPCにも劣らない。自作PC風のテイストを備えたパワフルベアボーンの最新作として、期待通りの1台に仕上がっていた。
協力:ASRock Incorporation