エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1177
2022.08.10 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
ゲームを楽しむ上でオーディオは重要な要素であり、FPS系タイトルを中心に“音の聞き分け”がプレイ上のアドバンテージに直結する場合もある。それだけにゲーミングデバイス市場において、入力デバイスに加えてゲーミングヘッドセットが注目を集めるようになって久しい。実際、主要なデバイスメーカーのほとんどがキーボードやマウスだけでなく、ヘッドセット製品にも少なからぬリソースを注いでいる。
MSIが10年前に初めて手がけた、記念すべきゲーミングヘッドセット第1弾モデルの「DS502 GAMING HEADSET」 |
いまや総合パーツメーカーとして、多くのカテゴリに製品を送り出しているMSIも同様。実のところ2022年は、初めて同社がゲーミングヘッドセットを手がけてからちょうど10年の節目にあたる。2012年にゲーミングヘッドセットの第1弾モデルとしてリリースされたのは「DS502 GAMING HEADSET」という製品で、大口径40mmドライバーを搭載しバーチャル7.1chサラウンドに対応。ゲーミングシーンを盛り上げるLEDやバイブレーション機能も備えていた。
台湾本社のプロダクトマネージャーによると、まったくノウハウがない新分野とあって「(MSIが掲げる)“True Gaming”の精神を盛り込んで納得のいく製品を作り上げるのは、非常に難しいプロセスだった」とのこと。しかし幾度もデザイン選定と機能評価を繰り返すことで、10年前の当時としては最先端の機能を揃えた野心的なモデルが出来上がった。
MSIゲーミングヘッドセット飛躍の切っ掛けになったヒット作「IMMERSE GH50」。イヤーカップにMystic Light対応の完全なRGBイルミを内蔵している |
その後順調にラインナップを充実させていった中で、最もセールス上の成功を収めたのは「IMMERSE GH50」だという。折しもゲーミングと言えば鮮やかなイルミネーションといったイメージが浸透していたタイミング。ハードコアゲーマーが好むクールなヘッドセットを目指し、いち早く完全なRGBライティングを搭載したヘッドセットとしてリリースされた。
ある意味でヘッドセットとしての機能とは無関係な“異物”を取り込むことになるわけで、開発に際しては電子的な内部設計の難しさに苦労したとのこと。しかしゲームに連動してキーボードやマウス、他のMystic Light製品とイルミネーションを同期させるヘッドセットは、その「いかにもゲーミングな雰囲気」からゲーマーに広く受け入れられることになった。
これまでのヘッドセット製品とは異なり、老舗オーディオブランドとのコラボで誕生した集大成モデルの「IMMERSE GH61」。オンキヨー製の高音質ドライバーとESS DACを搭載している |
そしてプロダクトマネージャーをして、MSIヘッドセット製品におけるマイルストーン的モデルと言わしめたのは、2020年に発売された「IMMERSE GH61」だ。従来の製品が音質よりもゲーミング体験を重視して開発されてきたという経緯がありつつ、本製品は「美しい音に包まれると同時に、ゲームという“娯楽”を楽しんでもらいたい」というコンセプトから、老舗オーディオブランドのオンキヨーにコラボレーションを持ちかけるという、異なるアプローチを経て製品化された。
コンセプトに賛同してくれる大手メーカーを探す苦労はもちろん、企業の垣根を超えた技術コミュニケーションを構築しての製品開発など、これまでとは別種の難しいプロセスに直面したとのこと。ある意味で難産だった開発プロセスを経て、それがオーディオ製品としても優れた性能を持つヘッドセットが生み出される結果に繋がったというわけだ。
さて、MSIゲーミングヘッドセットを振り返る前置きはここまで。次項からはゲーミングヘッドセットの主要ラインナップから、いまチェックすべきイチオシを4モデルピックアップ。モデル別に詳しく紹介していきたい。