エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1178
2022.08.13 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
「KB700」または「KB740」を接続すると、自動的に設定用のソフトウェアが起動する。現在接続中のデバイスが表示され、マウスとのコンボモデルではキーボードだけでなくマウスの設定も可能だ。
キーボードの場合、割り当て対象となるのは最上段のファンクションキー部分で、任意のキーやマルチメディアコントロール、Windowsアクションなどを設定できる。
「KB700」の場合は合計12キーが対象。Windowsアクションやマルチメディア操作などが設定できる |
接続したキーボードをしっかり認識。モデルごとに最適な設定が行える | ファームのアップデートや電池切れのインジケータ通知などもソフトウェア上から設定できる。やや日本語が怪しい点はご愛嬌 |
マウスとのコンボモデルの場合は、マウスも同時に認識。スクロールとサイドボタンに機能を割り当てることができる |
「KB700」と「KB740」が搭載するシザースイッチの打鍵感から、出来の良いキーボードだな、というのが素直な感想だった。シザースイッチは構造上やや厚みが増してしまうもののストロークに深みがあり、確かなクリック感を伴う入力は快適で、打鍵音も静かだった。
一般的にストローク浅めのパンタグラフ式の場合は、反発時に弾くような音を立てるタイプが多く、思った以上に周囲に響くことがある。その点でデル新キーボードのスイッチは、しっかり確実な打鍵感と残響の少なさから、オフィスワーク向けキーボードとしての十分な適性を備えているように感じた。指先へのストレスも少なく、長時間使用しても疲労感は最小限だろう。
Microsoftの「Keyboard ghosting interactive demonstration」で同時押しをチェック。あくまでオフィスワーク向けのため、同時認識は最大でも6キーだった |
ちなみにレイアウトの都合上、シンプルに使いやすかったのはフルサイズの「KB700」の方。コンパクトモデルの「KB740」はEnterやBackSpaceキーといった使用頻度の高いキーが小さく、さらにテンキーとの境界スペースがないことから、完全に慣れるまでは誤爆を誘発しそうだ。公式ページにソファでの使用イメージが載っていたように、フットワークの軽さを第一に考えたサイズ感とレイアウトであることは間違いないが、いっそすっぱりテンキーレス仕様にした方がよかったような気がする。
それ以外ではほぼ2モデルとも不満はなく、スリムなフラットボディのおかげで、いずれもデスク上ではパームレスト不要。ワンタッチで接続デバイスをスイッチできる切り替え機能も便利で、デスクトップPCとノートPC、スマートフォン・タブレットなどとキーボードを共有することが想定されている。
そして今回試す切っ掛けになったハイセンスなデザインは、ともすれば野暮ったさを発しかねない入力装置としては高評価。“デスクトップPCの付け合せ”的な従来のデルキーボードのイメージとは真逆で、デル製品としての自己主張が極めて少ない点も、周囲のデバイス・インテリアとケンカしないための配慮なのだろう。
なお概ね好印象な一方で、パンタグラフ式キーボードとしてはやや強気な価格設定(「KB700」:税込10,010円/「KB740」:税込9,020円)は気になるところ。デルの直販は(ディスプレイなどで知られているが)よくセールやオンラインクーポンの配布を実施しており、そのあたり込みで考える必要があるのかもしれない。
ともあれ最新キーボードの登場で、(少なくとも筆者の中にあった)“デルのキーボード”のイメージは変わった。今後どのような製品が後に続くのか、楽しみに待ちたい。
協力:デル・テクノロジーズ株式会社