エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1184
2022.08.27 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
今回検証を行った評価機には、ストレージとしてPCI Express 3.0(x4)に対応する「PC SN530 NVMe SSD」シリーズの256GBモデルが組み込まれていた。そして先ほど内部構造のチェックで確認した通り、NVMe SSDの発熱対策としてヒートシンクが標準で装備されている。ここではその効果をベンチマークテストの「CrystalDiskMark 8.0.4」で確かめてみよう。
テストはデータサイズ1GiB、テスト回数を5回に設定。3回連続でベンチマークを動作させている。
出荷時期によって搭載SSDは変更される可能性があるが、「PC SN530 NVMe SSD」(256GBモデル)の性能はシーケンシャル読込2,400MB/s、同書込950MB/s、ランダム読込170,000 IOPS、同書込120,000 IOPSというもの。
計測データではランダム性能はやや物足りないものの、シーケンシャル性能はほぼ公称値通り。そして動作温度範囲が0~70℃のところ、最大でもコントローラ温度が60℃に達することはなく、サーマルスロットリングも発生していない。製品に標準装備されているM.2ヒートシンクは十分な放熱性能を発揮しているようだ。
各種検証の締めくくりとして、最後は忘れずに「Mini PC PN51-S1」の消費電力をチェックしておこう。負荷テストには重量級の3Dストレステスト「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」をチョイスし、テスト中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、ワットチェッカーによる計測を行った。
アイドル時はわずか7Wであり、PCをつけっ放しで放置しても気にならないほどのエコ動作。高負荷時も約50Wと省電力で、システムを動かしている65WのACアダプタにとっても十分な余裕がある。どのような負荷をかけたとしても、システムが不安定になる心配はないだろう。
Ryzen 5000Uシリーズを搭載してパワーアップした「Mini PC PN51-S1」は、ビジネス系タスクを中心に期待通りのパフォーマンスを見せてくれた。設定次第ではゲームプレイにも流用可能なポテンシャルがあり、NVMe SSDの性能を引き出せる新追加のヒートシンクなど、不安なくシステムを運用できる装備が詰まっている。買ってすぐ使える完成品PCである点も面倒が少なく、ネットワーク機能や画面出力などの充実したインターフェイスも手伝って、即戦力のビジネスマシンとして活躍してくれそうだ。
標準構成ではメモリ容量が多少心もとないものの、ベアボーン製品がベースなだけに増設自体は容易であり、ユーザー側のひと手間でさらなるパワーアップも可能。USB PD給電に対応するなど、利便性は確実に向上している。
弱点を挙げるとすればミニPCの宿命といえる放熱の難しさで、フルロード時に100℃近くに達するCPUを冷却するため、動作音はそれなりに大きい。VESAマウント可能な設計を生かしてディスプレイ裏に隠してしまうなど、ストレスなく運用するには付き合い方を工夫する必要があるかもしれない。
協力:ASUS JAPAN株式会社