エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1188
2022.09.03 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
想像以上にメッシュ仕様の外観から、コンセプトそのものが「小型筐体クラス最強の通気性」であり、ここまでの検証では”小型筐体の佳作のひとつ”として大いに期待が持てる事だけは間違いない。それを決定付けるのは、次にチェックする内部構造だろう。
左サイドパネルを取り外し、Prime AP201の内部をくまなく見ていこう。最も広い面積を専有するのが、マザーボードトレイだ。Prime AP201が搭載できるのは、MicroATXおよびMini-ITXの両規格。つまり最低限244x244mmの基板が収まるスペースが必要となる。実際に確認してみると、トレイ部には予め8本のスタンドオフ(台座)が装着済みで、その内の中段中央の1本は段差付きを装着。マザーボードを固定する際の位置決めに役立つ。
一般的なミドルタワーPCケースの多くが装備するボトムカバーがない分だけ、やや広くスペースが使えるようにも見える。とは言え、そもそも高さが350mmしかない小型筐体だけに、実際のところは組み込みセッションでより詳しくチェックしてみたい。
黄色の丸印は通常のスタンドオフ、橙色の丸印は段差付きスタンドオフ。トレイ部には規格ごとに使用するネジを示す刻印が確認できる |
リアパネルは3ピンAC電源インレットがあるのみ。肝心の電源ユニット本体はどこにあるかと言えば、フロントパネルの真裏にマウントスペースがある。高さの低い小型PCケースの場合、マザーボードと電源ユニットを共に後方へ収める事ができない。コンパクトさを優先するなら、最もスペースが必要な電源ユニットを前方へ移すしかないワケだ。ATX規格の電源ユニットならPCケースの奥行きにして86mmは占有する事になるが、それでも選択肢が少ないSFX規格等に制限されない点は、メリットと捉えるべきだろう。実際それほど不都合は感じられない。
電源ユニットは背面で一切露出されない設計のため、3ピンAC電源インレットから電源ユニットまで内部中継ケーブルを接続する必要がある |
フロント裏手の搭載スペースには、ATX規格に対応する電源ユニット用ブラケットがマウントされている。ここにアクセスするには、まず前方左側面に4本のネジで固定されているプレートを外す。さらにフロントシャーシ面から2本のネジを外すことで、電源ユニット用ブラケットを取り出す事ができる。
スチール製電源ユニット用ブラケット。対応電源ユニットはATX規格で長さは140~180mmとされる |
電源ユニット用ブラケットの固定方法をフロント面から詳しく見ると、上段はフック・下段はネジ留めで、3ヵ所(下からA・B・C)よりポジションがセレクトできるようになっている。当然これには意味があり、電源ユニットの長さと、ストレージレイアウト、さらにトップパネル部の冷却ファンレイアウトとラジエーター搭載可否が互いに関係し、マニュアルには互換表が記されていた。これらの関係性については、ストレージ解説セッションと、電源ユニット搭載セッションで詳しくご紹介しよう。
赤丸が上段のフック、白丸が下段のネジ穴。A・B・Cの3箇所で電源ユニット用ブラケットのポジションが変更できる |