エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1190
2022.09.06 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
最後は先ほど同様にゲーム系のベンチマークテストから、長時間のループ実行が可能でより負荷の大きい「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークをチョイスした。描画品質は“カスタム”から最も負荷が大きくなるよう項目を選択し、解像度は最大の3,840×2,160ドットにセット。30分間連続で動作させている。
テスト中における消費電力は、「FF14」より大きな783Wをマーク。ただし1500Wモデルの「HX1500i 2022」にとっては、効率面でほぼ理想的な負荷環境だった。
まずATX電源の挙動からみていくと、負荷動作中は12.02V~12.04V範囲に収まる落ち着いたもの。CPU電源も変動がほぼ11.95V~11.98V範囲に収まっており、動揺は見られない。グラフィックス系テストとあってPCI Expressの動きはダイナミックだが、フルロード時で11.88V~11.96V、全体の変動幅は1.5%と、実は極めて狭い範囲の動きでしかない。重めの負荷でも大きなブレなく給電できる「HX1500i 2022」は、実に頼もしい存在と言える。
「HX1500i 2022」は高効率なPLATINUM認証電源ということもあり、トップクラスのウルトラハイエンド環境であっても1000W程度の消費電力で収まった。マイニングなどの特殊用途を除けばマルチGPU構成もすっかりご無沙汰で、その点で言えば、1500Wもの大容量を“使い切る”のは現実的ではないのかもしれない。
とは言えストレージを思うままに内蔵したり、圧倒的メニーコア搭載のワークステーションのような環境なら、電源容量はあればあるほど嬉しい。そうした向きに国内向け最大容量の1500W電源は、これ以上ない選択肢になってくれる。ウルトラハイエンド構成を十分なマージンをもたせつつ理想的な変換効率下で動かしたいという、エンスージアストにとっても同様。様々なニーズに限界まで応えてくれる、いわば“なんでもできる”電源ユニットというわけだ。
もちろん「HX1500i 2022」の魅力は、最大級の超大容量だけではない。贅沢にコストをかけたコンポーネントと緻密な設計による信頼性は、数ある電源ユニットの中でもトップクラス。多くのテストが与えるヘビー級の負荷でもブレのない挙動は、ウルトラハイエンドマシンの心臓として理想的なものだった。
さらに容量に余裕があることから、ほとんどのシチュエーションにおいて無音で運用できる静粛性の高さもトピック。「CORSAIR iCUE」を利用したモニタリングやカスタマイズ要素も備えるなど、およそ全方位で隙のない電源ユニットに仕上がっている。これらに価値を見出すエンスージアストであれば、60,000円を超える価格も購入の障害にはならないだろう。
協力:CORSAIR