エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1193
2022.09.13 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからは、Define 7 Nanoの冷却ファンレイアウトを見ていく。前の章で既に登場済みだが、フロントパネル裏側には140mmファンが1基標準で装備されている。搭載されているのはカタログモデルの140mmファン「Dynamic X2 GP-14」で、MTBF(平均故障間隔)10万時間のLLS軸受けを採用。スペックは回転数1,000rpm、騒音値18.9dBA、風量68.4CFM、静圧0.71mmH2Oで、コネクタ形状は3pin。
なお上部には空きスペースがあり、140mmファンをもう1基増設可能。120mmファン2基の運用にも対応し、搭載できるラジエーターは120/140/240/280mmの各サイズ。ただし140mmおよび280mmサイズは幅146mmまで、さらに280mmサイズは長さ316mmまでの制限がある。
リムーバブルトップブラケットには、120mmファン2基または140mmファン1基が増設できる。冷却ファン固定用のネジ穴はスリットタイプで、固定位置の調整が可能。さらにリムーバブルトップブラケットは取り外しができるため、搭載作業を楽に進める事ができる。なおラジエーターについては、残念ながら搭載はできない。上面から見れば240mmサイズが搭載できそうだが、内部高が十分に確保できていないためで、リムーバブルトップブラケットは冷却ファンのみのサポートである事を覚えておこう。
外観だけを見れば、誰もがラジエーターが搭載できると思うだろう。実際には内部高が十分に確保できていないため、冷却ファンの増設のみの対応に留められる |
背面にはフロント同様、カタログモデルの「Dynamic X2 GP-12」1基が標準装備されている。140mmファンのDynamic X2 GP-14同様に長寿命LLS軸受けを採用。スペックは回転数1,200rpm、騒音値19.4dBA、風量52.3CFM、静圧0.88mmH2Oで、コネクタ形状は3pin仕様。また120mmサイズラジエーターも設置可能で、最大幅は121mmとされている。
非LEDの7枚インペラ仕様。羽の表面の一部に切れ込みがあり、整流効果に加えノイズ軽減にも効果があるという |
マニュアルによると冷却ファンが増設できる箇所として、ボトム面も紹介されている。場所はボトムカバー内部の前方付近。ここには後に解説するドライブトレイと、モジュール式エアダクトがあるエリアだ。まずこの付近にボトムファンを搭載する意図はいまひとつ分からないが、増設するにはドライブトレイとモジュール式エアダクトの両方を取り外す必要がある。
ちなみに底面設置のドライブトレイは、120mmファンと同様のネジピッチ(105mm)で、スリットタイプのネジ穴にテーパーネジ等で固定する事になる。モジュール式エアダクトを外せばボトムカバー前方は開放状態になり、下から吸い上げた外気を内部に送る事は可能。エアフローの強化と、ストレージ収納力およびDefine 7 Nanoの特徴であるエアダクトとのトレードオフは、どうにもバランスが悪いように感じる。
エアフローが強化できる手段としてのボトムファン増設箇所。ネジピッチをドライブトレイが合わせているあたり、意図のある設計ではあるようだ |
モデル名でも想像できるように、コンパクトなPCケースである事は間違いないが、DIY水冷(本格水冷)の構築も設計段階から想定されている。
マニュアルにはCPUとグラフィックスカードを水冷化した図が紹介されている。なるほどこれを見る限り、それほど非現実的ではなさそうだ。近頃のDIY水冷パーツは選択肢も豊富で、パーツの入手性も悪くない。さらに各社から小型筐体に見合う製品も多数市販されている事から、Define 7 Nanoで構築を目論む読者もいるだろう。その場合、左側面が強化ガラス製のDefine 7 Nano TGを選択し、大いに内部をアピールしたい。
マニュアルにはリザーバー設置用のネジ穴の紹介と、スリットの間隔も数値で表記。ここが決まれば、本格水冷導入検討の余地は広がる |