エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1194
2022.09.16 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
テストセッションのラストはゲームの起動時間とロード時間をチェックしてみることにした。テストに使用したゲームは「Apex Legends」と「フォートナイト」の2種類で、起動時間は、いずれもゲームアイコンをダブルクリックしてからタイトル画面が表示されるまで、ロード時間は「Apex Legends」は「トレーニングモード」、「フォートナイト」は「高性能1V1」が開始されるまでの時間を5回ずつ実施し、最も高い数値と低い数値を除いた3回分の平均としている。なお比較対象として、筆者が普段ゲーム用PCとして使用している「Intel p600」シリーズの256GBモデル(アプリケーションおよびゲーム用ドライブ)を搭載したPCでも計測を実施した。こちらはOSやCPUが違うため、あくまで参考だがおおよその比較にはなるだろう。
まずゲームの起動時間を確認すると「Apex Legends」は、起動時にデータのアクセスが多いようで32.9秒から20.6秒へと約12秒も短縮された。また「フォートナイト」では、起動時のネットワークアクセスが多いことからその差は約8秒に縮まっているが、それでも明らかにゲームの起動は早くなったと体感することができる。
そしてゲームのロード時間だが、「Apex Legends」の「トレーニングモード」はそれほどロード時間が長くないことから平均では1秒未満の違いで、実際にゲームをしていても違いを感じることはできなかった。一方、「フォートナイト」では比較的データのアクセスが多いようで約7秒短縮された。
最後は「P41 Plus」シリーズの発熱を確認していこう。テスト用のヒートシンクはマザーボードに標準装備されるヒートシンクを使用し、ヒートシンクなしの状態でも計測を実施した。なお負荷テストは「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiBにして、3回連続でテストを行っている。
ヒートシンクなしの「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 | ヒートシンク装着時の「CrystalDiskMark 8.0.4」の結果 |
PCI Express 4.0(x4)接続のSSDでは、テスト直後から一気に温度が上昇して、1回目のシーケンシャルアクセステストの途中からサーマルスロットリングが発生する製品も多い。一方、「P41 Plus」の温度上昇は比較的緩やかで、ヒートシンクなしの最高温度も71℃で頭打ちになった。サーマルスロットリングと思われる症状もなく、転送速度も常に安定している。
さらにヒートシンクを搭載することで、最高温度は58℃へと13℃も低下。無理にヒートシンクを用意する必要はないが、マザーボードに標準装備されているヒートシンクがあるなら必ず搭載しておこう。
ヒートシンクなし:アイドル時のサーモグラフィ結果 | ヒートシンクなし:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
ヒートシンク装着時:アイドル時のサーモグラフィ結果 | ヒートシンク装着時:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィの結果を確認すると、「HWiNFO 64」の測定値より高くコントローラ部分は最高84℃まで上昇していた。とは言え、100℃を超えることが多いPCI Express 4.0(x4)コントローラの中では低く抑えられており、発熱の処理に困ることはないだろう。
ソリダイムブランドとしては初のコンシューマ向けSSDとなる「P41 Plus」シリーズ。PCI Express 4.0(x4)接続には対応するものの、バリューセグメントの製品ということもあり、公称転送速度自体は決して超高速というわけではない。
しかし今回のベンチマーク結果を見ると、シーケンシャルアクセス、ランダムアクセスとも公称値を上回る転送速度を記録した。さらに「PCMark 10」や「3DMark」など、より実際の運用に近いベンチマークでは、PCI Express 4.0(x4)接続のハイエンドモデルに匹敵するパフォーマンスを叩き出すなど、Intel時代から培ってきたノウハウを活かし、ファームウェアはしっかりと最適化されているようだ。
バリューセグメントの”QLC NAND”製品としては業界トップクラスの「P41 Plus」シリーズに注目 |
またバリューモデルらしく、コントローラの発熱が控えめなのも大きな魅力の一つ。特にヒートシンクとの併用が難しい、ノートPCのアップグレード用途では有望な選択肢になるだろう。そして今後ソリダイムにはPCI Express 4.0(x4)のハイエンドモデルや、普及が進むであろうPCI Express 5.0(x4)対応の超高速モデルの登場にも期待したい。
協力:ソリダイム・ジャパン