エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1196
2022.09.26 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは消費電力とCPU温度を確認していこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINEBENCH R23」実行時の最高値を採用している。
Ryzen 5000シリーズでは、PPTが最高でも142Wに制限されているのに対して、Ryzen 7000シリーズではPPTが最高230Wに引き上げられているため、Ryzen 9 7950XとRyzen 9 5950Xの比較で約130W、Ryzen 9 7900XとRyzen 9 5900Xの比較でも約90W消費電力が増加している。とは言え、マルチスレッド性能が最大で40%以上も向上しているトレードオフと考えれば十分許容できる範囲内に収まっている。
またCPU温度についてはCCDのコア数が少なく、2基のCCDに熱が分散するRyzen 9 7900Xでも87.8℃まで温度が上昇した。そして、それ以外のCPUはいずれも90℃を超えており、マルチスレッド処理でブーストクロックを維持するためには、今回検証に使用したような360mmクラスのオールインワン型水冷ユニットを用意したほうがいいだろう。
2020年に登場したRyzen 5000シリーズ以来、約2年ぶりに登場したAMDの最新コンシューマ向けCPU「Ryzen 7000」シリーズ。Zen 4アーキテクチャを採用したことによるIPCやブーストクロックの向上によって、最もエントリークラスのRyzen 5 7600XでもCore i9-12900Kを上回るシングルスレッド性能を実現。各種ゲーム系ベンチマークでもその効果は明らかで、特に高リフレッシュレート環境では大幅なパフォーマンスアップが期待できる。
さらにTDPやPPTが引き上げられたことで、Ryzen 9シリーズでもすべてのコアに負荷がかかる状況で高クロックを維持できるようになったのは大きなメリット。冷却にはこれまで以上に気を配る必要があるものの、マルチスレッド性能は最高で約40%以上も引き上げられ、クリエイティブな作業では無類の強さを発揮する。
またプラットフォームを刷新したことで、PCI Express 5.0やDDR5など最新インターフェイスへの対応を果たした「Ryzen 7000」シリーズは、パフォーマンスを求めるユーザーにとっては間違いなく魅力的な存在となるだろう。
協力:日本AMD株式会社