エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1203
2022.10.14 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
まずは手始めにレンダリング系ベンチマークテストの定番である「CINEBENCH R15」を動作させる。比較用として「Ryzen 7000」シリーズの単体レビューより、前世代の同クラスCPUであるRyzen 9 5900Xのスコアをピックアップ。Ryzen 9 7900Xおよび簡易オーバークロック時のスコアと比べてみることにした。
Ryzen 9 5900Xとの比較では、シングルコア性能が余裕で上回っているのに加えて、マルチコアテストでは1.3倍ものスコアをマーク。同クラスの12コア/24スレッドCPUながら別モノのパフォーマンスを発揮している。さらに全コア5.25GHz動作のオーバークロックでは、クロック差はそれほど大きくないながら、マルチコアテストで5%ほどのスコアアップを達成した。
続いて、よりメニーコアへの最適化が進んだ後継ベンチマークテストの「CINEBENCH R20」を動作させる。先ほど同様に定格動作に加えて、オーバークロック動作および前世代Ryzen 9 5900Xとのスコア比較を見ていこう。
スコア傾向は「CINEBENCH R15」とほぼ同等で、マルチコアテストにおいて1.3倍以上のスコアアップを実現。シングルコア性能も1.2倍近い上昇を見せている。オーバークロックにおいて定格比で5%ほどのスコア差をつけているのも同様で、手軽にパフォーマンスアップが狙える信頼性を備えている点は積極的に評価できる。
メニーコアを前提に設計され、計測時間も長い最新レンダリングベンチマーク「CINEBENCH R23」ではどうだろうか。Ryzen 9 5900Xとの比較およびオーバークロック動作時の伸びについてチェックしていこう。
シングルコアおよびマルチコアテストにおいて前世代から1.2~1.3倍もの大幅なパフォーマンス向上を達成し、Ryzen 9 7900Xは期待通りの実力を発揮。簡易オーバークロック動作時には5%以上の性能向上で大台の30,000ptsにスコアをのせてくるなど、十分にハイエンドCPUのパフォーマンスを引き出せている。
そしてオーバークロック動作による影響を確かめるため、「CINEBENCH R23」のストレステスト「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」を実行。電源回路への負荷をチェックしてみると、MOSFETモジュールの温度上昇は必要最小限のようだ。エントリーモデルながら12+2+1構成の多フェーズ電源で負荷を分散し、大ぶりのヒートシンクでしっかり冷却できている。
サーモグラフィで定格(左)とOC時(右)のヒートシンクを比較すると、順当に温度が上昇。ヒートシンクはしっかりMOSFETの発熱を受け取り、十分に放熱できているようだ |
さらにオーバークロック動作時における消費電力への影響をみておこう。「CINEBENCH R23」実行時の最高値を高負荷時、起動して10分間放置した状態での最低値をアイドル時として、ワットチェッカーで計測を行った。
アイドル時は(元より消費電力が高めなものの)ほぼ同等で、高負荷時には30Wアップ。多少なりと影響があることが分かった。もっとも、そもそも小幅の調整ということもあり、電源ユニットのアップグレードを検討するほどの差はない。チューニングのレベル次第ではあるものの、あまり神経質になる必要はなさそうだ。