エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1212
2022.10.30 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはZ10 PLUSに見合う構成パーツを用意し、実際に組み込み作業を行ってみよう。もともとZALMANは冷却機器が専門のメーカーだが、ご多分にもれず複数のカテゴリに食指を動かし、電源ユニットやアクセサリパーツ等をラインナップしている。必ずしも全ての製品が国内に流通していないが、本稿では電源ユニットとオールインワン型水冷ユニットをZALMANブランドからチョイスしてみた。いずれも編集部では初めて触れる製品だけに、機会があればぜひ詳細検証を行ってみたい。
電源ユニットの搭載テストには、アスク担当者が用意してくれたZALMAN「ACRUX 1000W」(型番:ZM1000-ARX)を使用する。80PLUS PLATINUM認証を取得したフルモジュラータイプで、型番から分かる通り定格出力は1,000W。135mmファンを内蔵し、奥行きは180mmとなる比較的大型な筐体が採用されている。
ボトムカバー内部に固定する電源ユニットは、奥行き200mmまでをサポート。ACRUX 1000Wの場合、数字上ではまだ20mmのスペースを残して固定できる計算だ。
固定方法はオーソドックスな、背面からのインチネジ留め。設置面には幅約10mm、奥行き約90mmのラバーが左右に貼り付けられており、金属同士が接触しないよう配慮がなされている。ここで実際に奥行き方向のクリアランスを計測してみたところ、スペースを分け合うシャドウベイユニットまでは約80mmの距離を残した。例によって電源ユニットの有効スペースは、本体に接続されるケーブルで占有するスペースも予め考慮されており、計算上の20mmよりも約60mmほど広く空間が確保できる事が分かった。
幅約135mm、長さ約185mmのダストフィルターは、ACRUX 1000W内蔵の135mmファンをきちんとカバーできている事が確認できる |
次にマザーボードを組み込んでみよう。編集部機材置き場より取り出した搭載テストマザーボードは、GIGABYTE「B550 VISION D」。クリエイター用とされるモデルである事はご存じの通り。シンプルなデザインのATX規格マザーボードだ。
搭載には3本のスタンドオフを追加。33本付属するミリネジ「SSD / MB Screw」9本を使い、ネジ留めを行った。Z10 PLUSは開口部が広く、作業の妨げになるものがない。搭載状態を目視しても、周辺クリアランスにはずいぶんと余裕があり、この後の作業もスムーズに進行するはずだ。なおマザーボード右端からフロントパネルまでは約155mm、上端からトップパネルまでは約55mmを残している。こちらの数値も申し分ない。
マザーボードを取り付けたところで、CPUクーラーの有効スペースおよび、CPUクーラーのメンテナンスホールをそれぞれ確認してみる。
CPUクーラーは高さ173mmまでのスペースが確保されている。実際にCPUを搭載し、その上にレーザー距離計を設置。左側面の強化ガラス内側にマーカーを貼り付けて計測してみると、デジタル表示は173mm。つまりメーカー公表値通りである事が分かった。
次にマザーボードトレイ背面から、CPUクーラーソケット真裏のカットアウトをチェック。開口部は実測で幅約195mm、高さ約140mmといったところ。Socket AM4備え付けのバックプレートはどこにも干渉する事無く露出できている。またこの広さがあれば、IntelのLGA1700等への汎用クーラー取り付けにも問題は無さそうだ。
ここでやや気になる点について触れておきたい。エルミタ的には久し振りに触れるZALMANとあって、大いに期待しながらの作業だが、どうしてもケーブル処理と裏配線スペースの状況については改善の余地ありと言わざるを得ない。
Z10 PLUSは合計4基の冷却ファン(140mm x3+120mm x1)が標準装備されている。これがARGBファンだけに、1基から伸びるケーブルは2本(給電用とARGB用)となり、これだけでも計8本。さらにトップパネルのスイッチおよびアクセスポート部から伸びるケーブルなどいずれも必要不可欠ながら、出荷時より裏配線スペースが相当賑やかな状態だ。
とは言えZALMANロゴ入りの面ファスナーを3つ備え、さらにARGBコントローラー基板を装備し、煩雑になるケーブルを一括で接続させるなどの対策は施されている。しかし標準装備の140mm/120mm ARGBファンのコネクタが4pinペリフェラルで、これを4つ連結する形で裏配線スペースに放置されているあたりはいかがなものか。ARGBは制御基板だけに、冷却ファンも3pinでスマートに処理すべきだ。コストパフォーマンス面からの妥協点と考えるのはあながち見当外れでは無さそうだが、このあたりはあと一歩と言ったところ。さらなる改善に期待したい。
標準装備ファンの電源ケーブルは4pinコネクタ仕様。4つを連結させ、裏配線スペースで垂れ下がる様はやや雑と言わざるを得ない |