エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1214
2022.11.03 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム系ベンチマークが一段落したところで、ここからはクリエイター系ベンチマークについても簡単に確認をしておこう。まずは定番のレンダリングベンチマーク「V-Ray 5 Benchmark」のスコアを確認する。
レンダリングにCUDAコアを使用する「V-Ray GPU CUDA」、RTコアを使用する「V-Ray GPU RTX」とも「RTX 4090 FE」から2%スコアが上昇し、レンダリング系のベンチマークでもオーバークロックの効果は確実にある。
続いて「Blender 3.3.0」の結果も確認していこう。レンダリングにはGPUを使用し、サンプルは「monster」「junkshop」「classroom」の3種類を選択している。
「V-Ray 5 Benchmark」より差は縮まっているが、やはり「Strix RTX 4090」のほうがいずれのプリセットでもスコアが高く、わずかながらオーバークロックの効果があるようだ。
最後にOTOY社のレンダリングエンジンOctaneRenderのパフォーマンスをテストする「OctaneBench 2020.1.5」のスコアもチェックしておこう。
スコアの傾向は「V-Ray 5 Benchmark」に近く、約2%スコアが上昇した。GeForce RTX 4090はもともとのクロックが高いこともあり、オーバークロックの効果は劇的ではないが、レンダリングは特に処理に時間が掛かるため「Strix RTX 4090」のような高クロックなモデルを選択するメリットは確実にある。
各種ベンチマークが一通り完了したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時はいずれも90W台でほぼ横並び。高負荷時でも約8Wしか差がなく、このクラスのグラフィックスカードとしては誤差の範囲。「Strix RTX 4090」はオーバークロックモデルとは言え、消費電力の増加については気にする必要はないだろう。
テストセッションのラストは3.5スロットを占有する巨大3連ファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用している。
GPUの温度は最高63.8℃、Hot Spot温度も最高72.1℃までしか上がらず、以前検証を行った「RTX 4090 FE」から、それぞれ7.6℃と9.1℃も低下した。またファンの回転数は1,400rpm前半、ファンの回転率も最高44%で頭打ちになり、実際の風切り音もフラッグシップGPUを搭載しているとは思えないほど静かだった。
最新「Ada Lovelace」アーキテクチャを採用し、多くのゲームで先代の約2倍、DLSS 3を組み合わせた場合には最大で4倍以上の性能向上を謳うGeForce RTX 4090を搭載しているだけあり、「ROG Strix GeForce RTX 4090 OC Edition 24GB GDDR6X」のパフォーマンスはまさに圧倒的だった。
これまでなら超解像技術を使わなければ快適なゲームプレイが難しかった4K解像度のレイトレーシング環境でも、ネイティブのままで十分なフレームレートを維持することが可能。さらにCPUもハイエンドクラスの製品を用意する必要があるが、高リフレッシュレートを追求するような用途でも力を発揮してくれる。
また「オリジナルベイパーチャンバー」や、改良版の「Axial-tech fan」など、ASUSの技術の粋を集めたオリジナルVGAクーラーも大きなトピック。冷却性能はもちろんのこと、静音性もおよそ最上位GPUを搭載しているとは思えないほど静かで、パフォーマンス面では正直欠点は見当たらない。
360mm近いカード長や、実質4スロットを占有する厚さ、2.5kgに迫る重量など、取り扱いには細心の注意が必要になる。さらに導入する際にはPCケースの買い替えが必要になるシーンも少なくないだろう。しかし超高性能かつ静音性にも優れたゲーミングPCを構築するなら、そういったデメリットを考慮しても導入する価値のある一枚だ。
協力:ASUS JAPAN株式会社