エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1217
2022.11.09 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
CORSAIR「CMT32GX5M2B6000Z30」 ※現時点では米国ウェブサイト専売モデル 製品情報(CORSAIR) |
最新世代のCPUとして大幅なパフォーマンス向上を果たしたRyzen 7000シリーズは、メモリ周りの改善も大きかった。AMDプラットフォームとして初めてDDR5に対応したほか、それに合わせてメモリオーバークロック技術の「AMD EXPO(Extended Profiles for Overclocking) Technology」が新たに導入されている。
AMD EXPOは、メモリに保存されたプロファイルを読み込むことで、動作クロックやメモリタイミング、動作電圧などの設定を自動で適用できるオーバークロック技術。UEFIでプロファイルを選択するだけで済むため、ユーザーが細かな設定を詰めることなく手軽にオーバークロックができるという、いわばIntel XMPのAMD版といった機能だ。
Ryzen 7000シリーズに前後して登場した、AMD EXPO対応のAMDプラットフォーム向けメモリ製品。ショップにも専用の価格表が用意されている |
これまではAMDプラットフォームにおいても、Intel XMPによるメモリのオーバークロックが利用されていたのはご存知の通り。しかしIntel XMPは文字通りIntelが中心になって開発した技術のため、AMD側ではアクセスできない領域も多く、メモリのパフォーマンスをフルに引き出せていたとは言い難い。
そうした事情もあり、AMDはRyzen 7000シリーズの登場に合わせて独自のオーバークロック技術を導入。Intel XMPを使用することなくAMDプラットフォームに最適なプロファイルの設定が可能になった。AMD EXPO対応のメモリ製品を選択することで、Ryzen CPUのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるというわけだ。
市場ではRyzen 7000シリーズの解禁に前後して、AMD EXPO対応のメモリが複数発売されている。今回はその中から、メモリのトップブランドであるCORSAIRからリリースされた「DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5」シリーズのAMD EXPO対応モデルを取り上げる。グローバルリリース時点では「DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5 Memory for AMD」と呼称されていた、AMDプラットフォームに最適化されたDDR5メモリだ。
動作クロックは5,200MHz/5,600MHz/6,000MHzに対応する製品をラインナップしており、今回は最もクロックの高い6,000MHzモデルの「CMT32GX5M2B6000Z30」を使用して検証を行っていく。ちなみにRyzen 7000シリーズにおいて、メモリコントローラ(uclk)とメモリクロック(mclk)が1:1で同期するのは6,000MHzまでのため、オーバークロックにおけるスイートスポットは6,000MHzということになる。最も良いパフォーマンスを発揮できる動作クロックの製品というわけだ。
CORSAIRのハイエンドシリーズ「DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5」からリリースされた、AMD EXPO対応のDDR5メモリ。最上位モデルはRyzen 7000に最適な6,000MHzで動作する |
今回の主役である「CMT32GX5M2B6000Z30」のメモリタイミングは「30-36-36-76」で、動作電圧は1.4V。容量は16GB×2の32GBキットだ。
なお「DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5」シリーズの特徴として、メモリチップはオーバークロック向けに厳選されたICが使用されているほか、モジュール基板にも信号品質やオーバークロック耐性に優れたカスタムPCBを採用。さらにICとPCBの両方を冷却する特許取得の独自冷却機構「DHX Cooling Technology」を用いることで、高負荷が長時間続く過酷なシチュエーションにおける低温かつ安定した動作を可能にしている。
そしてアルミダイキャストのヒートスプレッダ上部には、12灯の超高輝度ARGB LED「CAPELLIX RGB LED」を搭載。総合ユーティリティの「CORSAIR iCUE」ソフトウェアを使用して、ユーザーが自由にカスタマイズを楽しめる。パフォーマンスも見た目もプレミアムな仕上がりのメモリだ。