エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1220
2022.11.19 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
「B650M AORUS ELITE AX」には、発熱の大きなNVMe M.2 SSDを安定して動作させるため、専用ヒートシンクの「M.2 Thermal Guard」が装備されている。将来的にPCI Express 5.0対応SSDの運用も視野に入ってくる中で、果たして十分な冷却性能を備えているだろうか。
検証にはPCI Express 4.0に対応するGIGABYTE「AORUS Gen4 SSD 1TB」(GP-AG41TB)を用意。ベンチマークテストの「CrystalDiskMark 8.0.4」を実行した際の挙動を見ていこう。なおテストのデータサイズは1GiB、テスト回数5回に設定し、3回連続でベンチマークを実行している。
「AORUS Gen4 SSD 1TB」の公称スペックは、シーケンシャル読込最大5,000MHz、同書込4,400MHz、ランダム読込750k IOPS、同書込700k IOPSというもの。「CrystalDiskMark 8.0.4」のスコアはその公称値に迫る良好な結果で、動作温度は最大で55℃程度に抑えられていた。当然ながらサーマルスロットリングも発生しておらず、SSDは最大限のパフォーマンスを発揮できている。
サーモグラフィーによる、アイドル時(左)とベンチマーク時(右)のヒートシンクの違いをチェック。高負荷時でも表面温度は40℃程度であり、しっかり冷却できているようだ |
これはAMDに限った話ではないものの、昨今の最新プラットフォームはとかくマザーボードの価格高騰が話題になることが多い。それはそのまま最新CPUでの組みにくさに繋がるわけで、高機能かつ信頼性に優れたマザーボードをできるだけ手頃な価格で買いたいというニーズは、これまで以上に高まっている。
そうした向きに実にピッタリとハマるのが、下位チップのAMD B650を搭載したハイグレードモデルというわけだ。特に今回検証を行った「B650M AORUS ELITE AX」は、堅実な電源回路と重厚な冷却機構により、最上位CPUの性能もしっかり引き出せる安定性を備えていた。本来はオプション扱いのため省略されることの多い、PCI Express 5.0対応のM.2スロットを搭載している点も見逃せない。
グラフィックスカードが現状でPCI Express 5.0の帯域を使い切れていない一方で、SSDはさらに速さを増した対応モデルの登場が間近に迫っている。PCI Express 5.0対応はM.2スロットだけで十分と考えるユーザーにとっては、「B650M AORUS ELITE AX」のような製品は実にちょうどいい選択肢というわけだ。2スロット分が一体になった幅広いM.2ヒートシンクを装備しているのも、より発熱がシビアになる次世代SSDを見据えての設計なのかもしれない。
そのほか高速なネットワークをはじめ、イマドキの環境で必要とされる装備はしっかり揃っているという印象。過度な装飾を廃した質実剛健なデザインも好感度が高い。十分な性能に加えてコストパフォーマンスの高さも備えた、新世代マザーボードの注目モデルだ。
協力:日本ギガバイト株式会社