エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1223
2022.12.02 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
MSIでは、Intel 600シリーズ以降のマザーボードに、クーラーに合わせて最適なパワーリミット値を設定する「CPU Cooler Tuning」機能を搭載している。そこで今回はPL1が253Wの「Boxed Cooler」、PL1が288Wの「Tower Air Cooler」、事実上無制限になる「Water Cooler」を選択して、どのように動作が変わるのか確認してみることにした。なおベンチマークテストには「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」を使用している。
「Boxed Cooler」ではPL1/PL2とも253Wに設定される | 「Tower Air Cooler」ではPL1/PL2値が288Wに上昇 |
「Water Cooler」では、事実上の無制限となるPL1/PL2=4,096Wに設定されていた |
PL1/PL2とも253Wに設定されている「Boxed Cooler」だが、実際のPackage Powerは190W前後で推移し、Pコアクロックも4.70GHz前後で頭打ちになる。一方「Tower Air Cooler」ではPackage Power は概ね280~290Wで推移し、ほぼPL1/PL2の値に準ずる結果。Pコアクロックも5.20~5.30GHz前後で安定している。
そして事実上の無制限となる「Water Cooler」だが、テスト開始直後はPackage Powerが320W前後、Pコアクロックも5.50GHz前後まで上昇するが、CPUのサーマルスロットリングによって、その後は「Tower Air Cooler」とほぼ同様の動作に落ち着いてくる。
「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:10 minutes」の結果を確認するとシングルコアテストはいずれのプリセットでもスコアに変化はなし。マルチコアテストについては「Boxed Cooler」は約10%低いものの、消費電力も「Tower Air Cooler」に比べて100W以上も少なく、ワットパフォーマンスを重視するならオススメのプリセットと言えるだろう。
また「Tower Air Cooler」と「Water Cooler」を比較するとその差は約1%でほぼ誤差の範囲。最大消費電力は40W弱の差がついているが、これはテスト冒頭で計測されたもの。Package Powerがほぼ同じになるテスト後半では、消費電力も大きな差はなかった。
テストセッションのラストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」の高負荷テストを実施し、MOSFETの温度をチェックしていこう。ちなみに「CPU Cooler Tuning」は「Water Cooler」を選択している。
Package Powerは最大で320W、平均でも290W前後で推移する過酷なテストだがMOSFETの温度が75℃を超えることはなかった。またテスト中に動作が不安定になることもなく、「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4」であればCore i9-13900Kの性能を十分に引き出した状態で安定動作が期待できる。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷テスト25分実行時のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィを見ると、高負荷時はCPUソケット上側のヒートシンクはもちろん、左側の拡張ヒートシンクの迫り出した部分も温度が上昇しており、ヒートシンク全体で熱を拡散している様子が見て取れる。
円安や輸送費の高騰などの影響もあり、価格が上昇している最新プラットフォーム向けマザーボード。Intel Z790チップセットのハイエンドモデルは10万円を超える製品もあり、さすがに手が出ないという人も多いのではないだろうか。その点今回検証した「MAG Z790 TOMAHAWK WIFI DDR4」ならすでに税込45,000円前後まで値下がりしており、手が出しやすくなっている。
もちろんミドルレンジとは言え、品質面に妥協はなくCore i9-13900Kの無制限設定にも耐えられる堅牢な電源回路と強力な冷却システムを搭載。またPCI Express 4.0(x4)接続に対応する計4基のM.2スロットや、Intelチップによる2.5ギガビットLAN、Wi-Fi 6E無線LAN、帯域幅20GbpsのUSB 3.2 Gen 2×2 Type-Cなど高速なインターフェイスも充実している。
そして、コストを重視するならDDR5よりも安価なDDR4が使えるのも大きなメリット。すでにDDR4-3200クラスの製品を使っているならそのまま流用するのもよし。また「Memory Boost」による高クロック耐性を活かし、最近価格がこなれて来ている3,600MHzから4,000MHzクラスのオーバークロックメモリに挑戦してみるのもいいだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社