エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1229
2022.12.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
AMD「Radeon RX 7900 XTX」市場想定売価税込179,800円(2022年12月16日19時解禁) 製品情報(AMD) AMD「Radeon RX 7900 XT」市場想定売価税込159,800円(2022年12月16日19時解禁) 製品情報(AMD) |
2020年11月に登場した「Radeon RX 6000」シリーズの「RDNA 2」以来、約2年ぶりに刷新された新アーキテクチャ「RDNA 3」を採用するグラフィックスカード「Radeon RX 7000」シリーズ の国内発売が2022年12月16日19時より開始される。
「RDNA 3」アーキテクチャでは、コンシューマ向けGPUでは初となる、複数のダイを1つのパッケージ上に搭載する「チップレット」技術を採用。GPUコアとなる「GCD」(Graphics Core Die)と、16MBのInfinity Cacheや64bitのメモリコントローラを内蔵する「MCD」(Memory Cache Die)の2種類の異なるチップで構成され、「GCD」に最大6つの「MCD」を組み合わせることで、メモリバス幅は先代の最高256bit→最高384bitへと拡張されている。
中央にGPUコアとなる「GCD」を、その周囲にInfinity Cacheやメモリコントローラ「MCD」を搭載するチップレット構成を採用 |
またInfinity Cacheの容量は128MB→96MBに削減されている一方で、Infinity Cacheは第2世代へと進化しており、キャッシュがヒットした際のピークメモリ帯域は約2.7倍へと向上。これにより、特に4K解像度以上の高解像度環境でのボトルネックが解消しているという。さらに製造プロセスを「GCD」では最新の5nmプロセス、「MCD」では比較的安価な6nmプロセスと使い分けることで、チップの総コストを抑える効果もある。
「GCD」の製造プロセスは5nmでチップのサイズは300mm2、「MCD」の製造プロセスは6nmでサイズは37mm2 |
第2世代Infinity Cacheでは、キャッシュがヒットした場合のメモリ帯域は先代の2.7倍にあたる5.3TB/sに達するという |
そして、グラフィックスコア「GCD」の構造も大幅に改良が加えられ、トランジスタの密度は165%も向上。演算処理を行う「CU」(Compute Unit)には、同時に2つの命令を実行できる「Dual issue SIMD」を内蔵し、IPCは最大2倍に引き上げられている。さらに1.5倍の性能向上を謳う「第2世代レイトレーシングエンジン」や、1CUあたり2基の「AIアクセラレータ」を搭載することで、ワットパフォーマンスは約54%、レイトレーシング性能はCUあたり50%、AI性能は実に2.7倍も向上しているという。
CUはトランジスタ密度が165%向上した他、よりゲームに最適化されている | 2倍のIPCを誇る「Dual Issue SIMD」ユニットを内蔵するのも大きな特徴 |
「CU」には2基の「AIアクセラレータ」が新たに追加 | 「第2世代レイトレーシングエンジン」ではレイトレーシング性能はCUあたり50%向上 |
また12ビットHDRとRec 2020の色空間を完全にカバーする「AMD Radiance Display Engine」や、8K/165Hz、4K/480Hzの高解像度・高リフレッシュレート環境に対応するDisplayPort 2.1、広色域・高ダイナミックレンジ向けに設計されたAV1エンコード/デコードをサポートする最新の「Dual Media Engine」などの機能に対応する。
その第1弾モデルとしてリリースされたのが、今回の主役である「Radeon RX 7900」シリーズだ。GeForce RTX 4080の対抗となるフラッグシップモデル「Radeon RX 7900 XTX」のスペックは、演算ユニット数96基、レイアクセラレータ96基、ストリーミングプロセッサ数6,144基、ゲームクロック2,300MHz、ブーストクロック最高2,500MHz、メモリバス幅384bit、メモリスピード20Gbps、メモリ帯域幅960GB/s、ビデオメモリはGDDR6 24GB、Infinity Cacheは96MB、TBPは355W。
「Radeon RX 7900」シリーズのスペック概要。「Radeon RX 7900 XT」は当初の発表からTGPが15W上昇して315Wになっている。 |
ハイエンドモデル「Radeon RX 7900 XT」のスペックは、演算ユニット数84基、レイアクセラレータ84基、ストリーミングプロセッサ数5,376基、ゲームクロック2,000MHz、ブーストクロック最高2,400MHz、メモリバス幅320bit、メモリスピード20Gbps、メモリ帯域幅800GB/s、ビデオメモリはGDDR6 20GB、Infinity Cacheは80MB、TBPは当初のアナウンスでは300Wとされていたが、最終的には315Wへと若干増加している。
先日公開したファーストインプレッションでも触れているが、Radeon RX 7900 XTX/XTのリファレンスモデルは、対抗となるGeForce RTX 4080 Founders Editionよりかなりコンパクト。Mini-ITX専用やMicroATXケースを使う上では大きなメリットになるだろう |