エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1229
2022.12.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム系のベンチマークが一段落したところで消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用し、テスト実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時としてワットチェッカーによる計測を行った。
GPU負荷が中心のストレスベンチマークということもあり、Radeon RX 7900 XTXが最高513.6W、Radeon RX 7900 XTが最高470.8W、GeForce RTX 4080が475.9Wで、ほぼTGP通りの差に落ち着いた。
Radeon RX 7900 XTXはGeForce RTX 4080より消費電力は高めだが補助電源コネクタは一般的な8pin×2の構成。すでにRadeon RX 6000シリーズやGeForce RTX 30シリーズのハイエンドモデルを運用しているなら、電源ユニットは変換コネクタを使わず流用できる。また省電力性能を重視するなら今回最も消費電力の低かったRadeon RX 7900 XTは有望な選択肢になるだろう。なおRadeon RX 6800 XTの消費電力が高くなっているのは、オーバクロックモデルのためだと思われる。
テストセッションのラストはそれぞれのリファレンスモデルに実装されている、3連ファンクーラーの性能をチェックしていこう。ストレステストは消費電力と同じ「3DMark Speed Way Stress Test」で、GPUの温度やファンの回転数は「GPU-Z 2.51.0」で取得している。
最近のハイエンドグラフィックスカードに比べるとだいぶスマートなRadeon RX 7900 XTXだが、高負荷時でもGPU温度は70℃、Hot Spotの温度も83℃までしか上がらず冷却性能は優秀。ファンサイズが85mm径とコンパクトなことからファンの回転数は1,840rpm前後、回転率は70%前後とやや高めだが、静音性にも問題はなく、実際テスト中はCPUクーラーのファンノイズのほうが気になる状態だった。
そしてRadeon RX 7900 XTXよりもさらにコンパクトなRadeon RX 7900 XTだが、消費電力が控えめなこともありGPU温度は64℃、Hot Spotの温度も77℃で頭打ち。ファンの回転数も1,750rpm前後、回転率も65%前後で、TGP 300Wを超える発熱を完全に抑え込むことができている。
コンシューマ向け初のチップレット構成や、第2世代のInfinity Cache、第2世代のレイトレーシングエンジンなど、多くの改良が加えられたAMDの最新アーキテクチャ「RDNA 3」。特に4Kクラスの高解像度環境でのパフォーマンス向上は顕著で、「RDNA 2」世代のハイエンドモデルであるRadeon RX 6800 XTとの比較では、ラスタライズを使用するテストでも最大60%以上、レイトレーシングを使用するテストでは最大80%以上も性能が向上しているシーンもあった。
さすがに純粋なレイトレーシング性能ではGeForce RTX 4080には及ばないものの、ラスタライズ系のゲームや、レイトレーシングに対応するゲームでもAMDへの最適化が進んでいるものであれば、Radeon RX 7900 XTXなら同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮する。
またRadeon RX 7900 XTXなら24GB、Radeon RX 7900 XTでも20GBとメモリ容量が多い点もレンダリングや4K解像度でゲームをやる際には見逃せないポイント。それでいて価格はGeForce RTX 4080よりも大幅に安価なことから、価格面でGeForce RTX 4080の購入を断念していた人には、魅力的な存在に映るだろう。
AMD Radeon RX 7900シリーズは、NVIDIA GeForce RTX 40シリーズのFounders Editionと違いリファレンスモデルが国内販売されるのも大きなメリット。 |
そしてRadeon RX 7900シリーズのリファレンスモデルは、いずれもイマドキのハイエンドグラフィックスカードとしてはかなりコンパクトなのも特徴。特にRadeon RX 7900 XTは、性能こそRadeon RX 7900 XTXの8割前後に留まるものの、間違いなくハイエンドグラフィックスカードの中では最小クラス。内部スペースが限られるコンパクトゲーミングPCでは有望な選択肢になるはずだ。
協力:日本AMD株式会社