エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1230
2022.12.15 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
ここまで「CLUTCH GM31 LIGHTWEIGHT WIRELESS」のスペックや外観、その構造をくまなくチェックしてきた。続いて気になる使用感を確かめるため、今回は店頭で日々多くのゲーミングマウスに触れる機会のあるベテラン店員にリポートを依頼。構造面での完成度から様々なシチュエーションにおける使い勝手に至るまで、隅々まで検証してもらった。
前作の「GM41」シリーズをはじめ、様々なゲーミングマウスを使い倒してきたTSUKUMO eX.の中里さん。エルゴノミクス形状のマウスにも多く親しんできた経験をもとに使い勝手を語ってもらう |
従来モデルとは異なる右手用のエルゴノミクスデザインを採用した「CLUTCH GM31 LIGHTWEIGHT WIRELESS」ですが、形状自体は多くのエルゴノミクス系マウスにも通じる、オーソドックスなフォルム。同様のマウスを好むユーザーにとっては、素直に使いやすい形に仕上がっていると思います。
むしろ主張が強いのはコンパクトなサイズ感。多くの小型モデルの場合、ある程度の大きさの手でも使い分けられる形状になっているのですが、「GM31」は完全に小~中サイズの手をターゲットに設計されている印象です。想定された大きさの手であればまったく問題ないところ、それ以上の場合は薬指と小指を置くスペースが問題になるでしょう。窮屈な持ち方になったりマウスパッドに触れる部分が増えたりと、うまくハマる手のサイズのレンジはやや厳しめかもしれません。
小~中サイズの手にフォーカスして設計されているコンパクトサイズがマッチするかどうか。男性など手が大きめな人の場合、薬指や小指の置き場所が窮屈になるかもしれない |
なお、充電ドックが付属するワイヤレスマウスとしては相当に安価な製品ながら、全体的なビルドクオリティはかなり高いです。各スイッチやホールなどの重要部分は特に高い精度で作られていて、ガタつきもなく押し込んだ際の遊びも少なめ。ボディのシェルもいい造形で、かなり強くグリップしても軋まない剛性があります。
また、重さは軽量マウスとしてスタンダードな70g前後。ハイエンド級に比べれば数字上は重ためですが、中心寄りの良好な重心バランスもあり、操作しやすい重さに感じました。あまり軽すぎるのは苦手、という人なら特にちょうどよく感じるのではないでしょうか。
続いてグリップスタイルですが、「かぶせ持ち」との相性は良いと思います。特に手のサイズが小さめの人なら抜群でしょう。エルゴノミクス形状ならではの良好なフィット感が得られます。ただし繰り返しにはなりますが、薬指や小指の合わせ方次第になるため、手のサイズがうまくマッチするかが最大の条件になるでしょう。
「かぶせ持ち」との相性は一際良好な印象。その一方で「つかみ持ち」は手の大きさによる影響が大きく、満足いく操作感を得るには多少の工夫が必要になる |
「つまみ持ち」との相性も悪くありません。同様に薬指や小指のポジショニングを調整する必要はありますが、特に深めの位置に持つ場合は良好な操作感が得られそうです。浅めに持つ場合はサイドのくびれ(後ろ方向へのカーブ)がきついため、マウスが斜めになってしまうかもしれません。その場合は、手を斜めに寝かせる形でつまみ持ちすると、問題が解消すると思います。
その一方で、「つかみ持ち」との相性はあまり良くないかもしれません。深め・浅めどちらの持ち方でも、そのサイズ感から特に小指の置き場所が滑りやすくなってしまうからです。ただ「つまみ持ち」同様に手を斜めに寝かせた状態なら、滑りも軽減されて使いやすさも改善するはずです。
クリック感は軽快でしっかりしており、昨今主流になっているKailh GM8.0スイッチと比べても固くなく良好な押し心地。スイッチ反応前(プリトラベル)と反応後(ポストトラベル)のどちらもかなり少なく優秀で、単発クリック・連打ともに押しやすく感じます。ビルドクオリティが高いため、操作中にガタつきを感じることもありません。
軽快かつ思い通りの操作が可能なクリックボタン。ソールは馴染むまでやや引っ掛かりを感じるため、実戦投入前の“エイジング”が必要かもしれない |
サイドボタンは他社製品に比べるとやや固めに感じますが、プリトラベル・ポストトラベルともに少なく、とっさの操作に対しても問題なく反応します。スクロールホイールは柔らかめの回転に調整されており、フィードバックはしっかりあるものの、とっさの操作では精度が低くなるかもしれません。その一方でホイールの押し込みは、しっかり意識して押さなければ反応しないくらい固め。あまり頻繁に行う操作をバインドするのは避けた方がいいでしょう。
底面のソールはゲーミングマウスで一般的なPTFE製で、センサー周りにもしっかり貼られているのは好印象。面積はそれほど大きくないのですが、その分滑りのキレは良いですね。ただしエッジの処理が多少甘いため、開封直後はマウスパッドとの引っ掛かりを感じました。エッジが削れるまで、多少使って馴染ませてから実戦投入するべきでしょうね。
「MouseTester」によるセンサーテストの結果 |
センサーはMouseTesterを使用してテストしてみましたが、Xsumグラフもキレイな形をしており、トラッキング性能は良好です。複数マウスパッドでも結果は変わりませんでしたので、メジャーな布マウスパッドに関する相性問題はほぼないと考えられます。(ガラスやハードタイプは未検証です)
「オーバーウォッチ 2」など実際のゲームでも試してみたところ、カーソル飛びなどはなく、センサーの挙動で違和感が出ることはありませんでした。ただリフトオフディスタンスが多少長めな点は気になるところで、持ち上げた際に思ったより追従してしまうように感じます。ソフトウェアにも該当の設定項目がないので、今後のアップデートに期待と言ったところでしょうか。