エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1231
2022.12.21 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
「ゲーミング空間を一変させます」のコピーで市場に投入された、Fractal Design(以下:Fractal)最新作「North」は、2022年のPCケースカテゴリを締めくくるに相応しい同社の意欲作。まず目に付くのはフロントパネルで、無機質な金属の箱に自然素材を融合。Fractalが最も得意とするインダストリアルデザインが、Northの完成度の高さに表れている。
フロントパネルに採用される自然素材。Fractalが新たに選んだウォールナットは、本体色のチョークブラックに違和感なく溶け込んでいる |
その佇まいからゲーミングPCとはやや距離を置く、インテリアデザインへの融合を目的としているようにも思える。しかし本体は通気性を十分確保したエアフロー設計が軸で、ハイエンド構成を求めるイマドキのPCゲームのリクエストに十分応えられる構造から、その主張は的外れではない事が分かる。
今回は国内代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)よりブラック色で側面がメッシュ仕様の「North Charcoal Black」(型番:FD-C-NOR1C-01)を借り受け、すみずみをチェックしていく。
Fractal Design「North Charcoal Black」(型番:FD-C-NOR1C-01) 市場想定売価税込26,400円(2022年12月16日発売) 製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク) |
検証を始める前に、Northの製品ラインナップをご紹介しよう。近頃のFractalと言えば、徐々にモデルを増やす手法は取らず、一気に複数のラインナップをリリースするパターンだった。ときに販売店泣かせの戦略とも言えるが、今回は意外にもボディカラー2色でそれぞれ2種類のみ、合計4種類に留められている。Fractalの場合、追加モデルが販売される可能性は低いため、Northに限っては厳選された2パターン2色から、好みのモデルをチョイスする事になる。
2パターンとは左サイドパネルの違いで、「TG(=Temper Glass)」が強化ガラス仕様、いわゆる無印がメッシュパネル。さらに強化ガラスはブラックが「TG Light」(ダーク)、ホワイトが「TG Clear」(クリア)となり、異なるガラス色を採用。ちなみにカラーの名称はCharcoal BlackとChalk Whiteで、単にブラックとホワイトとは呼ばない点が、Fractalのセンスだ。なお国内市場での想定売価は、全モデル共通で税込26,400円前後。決して安価ではないだけに、検証ではその価値を見つけ出さなければならない。
North Charcoal Black(型番:FD-C-NOR1C-01) | North Charcoal Black TG Light(型番:FD-C-NOR1C-02) |
North Chalk White(型番:FD-C-NOR1C-03) | North Chalk White TG Clear(型番:FD-C-NOR1C-04) |
次にスペック表から、Northの概要を確認しておこう。FractalのPCケースはギミックが満載であることから、表記の統一が若干しにくいところがあり、混乱を招く事を避ける理由から、正規代理店である株式会社アスクの表記に準じた。
まずケースタイプは最も選択肢が豊富なミドルタワーで、対応マザーボードはATX、MicroATX、Mini-ITX。のちに触れるが、マザーボードトレイ面は広く確保しているものの、横方向に長い制限付きE-ATXへの対応は見送られている。需要とのバランスを考えれば、おおむね異論は出ないだろう。
その他詳細についてはひとつずつ丁寧に紐解いて行くとして、外形寸法は幅215mm、奥行き447mm、高さ469mmで、中~大型PCケースの目安としている500mmを超える箇所はない。また記載は無いものの、主素材はスチールで、副素材にプラスチックを使用。今回検証を行うNorth Charcoal Black(型番:FD-C-NOR1C-01)については、強化ガラスが使われている箇所はない。
外装パッケージは幅326mm、奥行き565mm、高さ553mmとされ、付属品および緩衝材を含めた総重量は本体から1.95kg増しの9.55kg(TGモデルは9.3kg)。例によって店頭購入からの持ち帰りには、カートを用意した方が無難であろう。
Fractal上位機種で採用されるインナーロゴプリント入りの外装パッケージ。開いた瞬間からFractalの世界が広がるという小粋な演出に、多くの人が魅了されたはずだ |