エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1240
2023.01.09 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
まずはテスト時間が短く、ブースト時の最大性能を計測するのに便利な定番レンダリングベンチマーク「CINEBENCH R15」の結果から確認をしていこう。
テスト環境が異なるため完全に横並びの比較にはならないが、以前検証した「X」型番との比較では、シングルコアテストはいずれのCPUとも大きな差はなくほぼ同等の性能が期待できる。またマルチコアテストでは、Ryzen 7 7700はほぼ同等だが、Ryzen 5 7600はRyzen 5 7600Xより約8%、Ryzen 9 7900Xは約20%低いスコアで、TDPやPPTが低下している影響は確実にある。
また第13世代Intel Coreプロセッサと比較すると、シングルコアテストではRyzen 9 7900、Ryzen 5 7600ともライバルとなるCPUを上回るが、マルチコアテストでは総合コアが少ないためRyzen 9 7900はCore i7-13700より約9%、Ryzen 5 7600もCore i5-13400より約3%低いスコアになった。
続いて「CINEBENCH R15」よりも処理が重く、長時間負荷が掛かる「CINEBENCH R20」のスコアを確認しておこう。
シングルコアテストについては、「X」型番に比べて2~4%低いスコアで、動作クロックが引き下げられている影響が出てきている。またマルチコアテストではRyzen 7 7700やRyzen 5 7600で約8%、Ryzen 9 7900では約19%に差が広がり、12コアのフルロード状態でTDPを低く抑えるのは難しいようだ。
また第13世代Intel Coreプロセッサと比較するとマルチコアテストはRyzen 9 7900とCore i7-13700で約16%、Ryzen 5 7600とCore i5-13400でも約11%の差をつけられているのに対して、シングルコアテストではRyzen 9 7900とCore i7-13700の差は約3%に縮まっている。さらにRyzen 5 7600とCore i5-13400ではスコアが逆転しているが、これはCore i5-13400が1世代前のAlder Lakeコアを採用していることが影響していると思われる。
続いてメニーコアCPUへの最適化が進んでいる「CINEBENCH」系の最新レンダリングベンチマーク「CINEBENCH R23」のスコアを確認しておこう。
スコアの傾向は「CINEBENCH R20」とほぼ同じ。「X」型番との比較では、マルチコアテストのRyzen 9 7900の落ち込みが大きく、「無印」型番で16コア/32スレッドモデルを用意しなかったのも頷ける。
また第13世代Intel Coreプロセッサとの比較では、ブースト機能によるクロックの上昇幅も大きく(その分消費電力増加も多いが)、総合コア数も多いことからマルチコアテストは全体的に第13世代Intel Coreプロセッサが優勢。ただし、シングルコアテストについては、Ryzen 9 7900とCore i7-13700はほぼ同等、Ryzen 5 7600とCore i5-13400では、Ryzen 5 7600のほうが上回るスコアを記録している。
「CINEBENCH」系のベンチマークが一段落したところで、「V-Ray 5」ベースのレンダリングベンチマーク「V-Ray 5 Benchmark」の結果も確認しておこう。
「X」型番との比較では、Ryzen 7 7700やRyzen 5 7600の差は約9%に留まるが、Ryzen 7 7900ではコア数が多いため動作クロックの影響が大きく、その差は約20%に広がっている。
また第13世代Intel Coreプロセッサと比較するとRyzen 9 7900とCore i7-13700で約5%、Ryzen 5 7600に至ってはCore i5-13400を上回るスコアを叩き出し、「V-Ray 5」では、いわゆるパフォーマンスコア(Pコア)の性能の影響が大きいようだ。
レンダリング系ベンチマークのラストは、3Dモデリングソフト「Blender」の性能を計測する「Blender Benchmark 3.4.0」の結果を確認していこう。レンダリングにはCPUを選択し、サンプルは「monster」「junkshop」「classroom」の3種類を使用した。
スコアの傾向は「V-Ray 5 Benchmark」に近く、Ryzen 7 7700やRyzen 5 7600では「X」型番との差は10%前後なのに対して、Ryzen 9 7900では約20%に広がっている。またRyzen 9 7900とCore i7-13700の差は約10%、Ryzen 5 7600とCore i5-13400の比較では最大でも差は2%しかなく、特にRyzen 5 7600の健闘が光る結果になった。