エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1247
2023.01.27 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
Core i9-13400に対しては、「T120 RGB」よりも高い冷却性能を発揮した「T120」。続いて、CPUをCore i9-13900Kに変更した状態でも検証を進めていこう。
こちらもPackage Powerや動作クロックの挙動は「T120 RGB」とほぼ同じ。またCore i5-13400では差が出ていたCPU温度もCore i9-13900Kのテストではほとんど差がなくなっている。
続いてファンの回転数を確認するとPackage Powerが125W前後で推移するシーンでは「OCCT 11.0.19」は1,350rpm前後、「CINEBENCH R23」でも1,400rpm前後までしか上がらず、「T120 RGB」からは300~500rpm低下している。騒音値も40dBA前後まで下がり、ほぼフル回転に近い「T120 RGB」より確実に静音性が向上している。ハイエンドCPUを使い、静音性や冷却性能を重視するなら「T120」を選択するといいだろう。
最後に「T120」でも非接触型デジタル温度計によるヒートシンクのポイント別温度と、サーモグラフィの結果をチェックしておこう。
高負荷時のポイント別温度計測結果 |
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
非接触型温度計によるポイント別温度、サーモグラフィ結果とも「T120 RGB」から大きな違いはなし。しっかりとヒートパイプによる熱移動も確認でき、検証からも「T120 RGB」と「T120」のヒートシンクは同一のものであると結論づけていいだろう。
兄弟モデルながら、搭載ファンの違いで”まるで別物”だった「T120 RGB」「T120」。いずれもイマドキのサイドフロー型CPUクーラーとあって、現在主流となるCPUをきちんと冷却するパフォーマンスを見せてくれた。NZXTブランドで固めたPCを構築するなら、迷わずどちらかを選ぶといい。もちろんそれ以外の自作派にもオススメできるポイントがいくつか見つけ出す事ができた。
まず共通ヒートシンクの出来映えは、見た目からそうであると思わせる高い工作精度により、良好な冷却性能に直結するものであった。サーモグラフィの様子からも、ヒートパイプが熱移動の役割を果たし、ヒートシンクの中段から上段にかけてまんべんなく熱が拡散できている。そして放熱フィンに熱を吸い上げたところで、これを直接風で冷やすのが冷却ファンの仕事だ。
両者の最大風量を比較すると、発光するT120 RGBは最大50.18CFM、発光しないT120は最大78.02CFMで、その差は実に27.84CFMにもなる。この違いはさすがに大きく、まるで別物のパフォーマンスを見せた。一方で騒音値は前者が27.5dABに対し後者は30.6dBAで、その差は3.1dBAしかない。
冷却性能はヒートシンクと冷却ファンのバランスであり、どの回転数で冷却を行っているか等、挙動も考慮する必要がある。それを理解したところで今回の検証結果から、T120は冷却性能に特化した高冷却志向であり、T120 RGBはイルミネーションによる魅せる要素と、いざとなれば回転数を上げて冷却性能を維持するトータルバランスが特徴と言えよう。
ナロータイプヒートシンク採用のサイドフロー型CPUクーラーは、とかく熱に対して非常にピーキーであり、決め手は搭載ファンにあると言ってもいい。NZXTが異なる性格の2モデルを用意したのは、”光る光らない”だけでなく、多様化するシステムへの柔軟な対応が目的だったのだろう。自分のシステムにはどちらが見合うか、しっかりと見極めたい。
協力:NZXT