エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1247
2023.01.27 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
次に「T120 RGB」と「T120」に搭載される120mm冷却ファンについて解説しよう。外観の印象から、多くの人はRGB LEDの有無のみが違いと思うだろう。しかしスペック表を見比べると、回転数は同一ながら、風量や騒音値の違いに気が付く。さらに両者を並べてみると、ブレードデザインも微妙に異なる事が分かる。つまり単なるRGB LED発光の有無だけではなく、まったく別物の冷却ファンが使われているというワケだ。
左がRGB LED内蔵の「F120RBファン」、右が発光しない「F120P 静圧ファン」 |
両者を見比べると、ハッキリとブレードデザインの違いが分かる。なお未発光時の最も簡単な見極め方は、ブレード外周に装着されているリング状のパーツの有無だ |
次に搭載ファンを個別に見ていこう。T120 RGBに搭載されるのは、NZXTのカタログモデル「F120 RGB」だ。後に紹介するNZXTの対応LEDコントローラー「RGB & Fan Controller」の他、付属の変換ケーブルを使用することで、5V汎用RGB LEDコネクタを搭載したマザーボードでの発光が可能。魅せるPCを構築するなら、こちらをチョイスしよう。
スペックは回転数が500~1,800±300rpm、風量が13.94~50.18CFM、騒音値が17.2~27.5dBA。なお静圧は0.75~2.7mmH2Oで、軸受けはFluid Dynamic Bearing(流体動圧軸受け)を採用し、寿命は6万時間とされる。
リブ付きフレームからは4pin(PWM)コネクタに加え、RGB LED用ケーブルの2本が伸びる |
T120 RGB搭載の120mmファンF120 RGBは、2022年10月より国内でも販売が開始された2.5インチベイサイズの「RGB & Fan Controller」(型番:AC-CRFR0-B1)が利用可能。コネクタはLED(NZXT専用4pin)×6、ファンが4pin PWM×3を装備。PCとの接続はUSB 2.0ピンヘッダ、電源はSATA電源コネクタからの供給で、システムモニタ機能を備えたコントロールソフトウェアNZXT「CAM」により、イルミネーションの設定が利用できるようになる。
「RGB & Fan Controller」(型番:AC-CRFR0-B1) 市場想定売価税込4,620円。NZXTの対応発光パーツを一括接続することで、光りの制御が可能になる。ケーブルマネジメントの観点からも使って便利なアイテムのひとつ |
T120に搭載される「F120P」も、NZXTのカタログモデル。国内単体販売のアナウンス時(2022年7月29日)は、ラジエーター向けの静圧ファンと紹介されており、高いプレッシャーが特徴。回転数および静圧はF120 RGBファンと同じだが、風量が21.67~78.02CFMと高く、それに伴い騒音値も17.9~30.6dBAとされ、特に最大騒音値で両者に開きがある。
ここで筆者が疑問に感じたのは、風量と騒音値に開きがありながら、静圧の数値が同じ点だ。回転数が同じでもブレード形状が異なり、生み出される風量が異なれば当然静圧も違うと考えるのは自然だろう。
この点についてNZXTに直接聞いたところ、いずれも同社による検証結果であり「理論上風量が大きくなると静圧が落ちるが、同一環境での実際の計測値がコンディションにより変わる場合がある」ため、「結果的に数値が同じでも不思議ではない」という見解だった。
ヒートシンク固定にはワイヤークリップを使用。ネジ穴部分には防振ゴムが装着されている |
いずれにせよ、実使用における大きなマイナスではなく、これ以上の議論はあまり意味がない。搭載ファンの違いによる性能差が出るとすれば、後に実施するテストセッションで明らかになる。その結果が全てということだ。
軸受けはFluid Dynamic Bearing(流体動圧軸受け)を採用。製品寿命は60,000時間とされる |