エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1248
2023.01.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
2023年のオープニングに用意された「P20C」は、これまでヒット作を数多く排出した実績のある「Performance」シリーズに属するミドルタワーPCケースだ。Antecを一躍有名にした「P180」の血統であり、看板シリーズの新作となれば当然触れておく必要があるだろう。編集部としては、避けて通れないモデルというワケだ。
Antec「P20C」 市場想定売価税込14,480円(2023年1月14日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
一時入手困難にもなった前出P180のコンセプトを知る人なら、未だAntec=静音とイメージするだろう。しかし代を重ねたPerformanceシリーズの現在は、決して静音に限定されてはいない。かつての絶対的キーワードだった「静音」が、「ゲーミング」や「魅せるPC」に置き換わり、イマドキに進化。エアフローを重視し、冷却にポイントを据えた設計の筐体が主流となっている。
P20Cもそのひとつで、通気孔を随所に設けたエアフロー設計と、左側面に4mm厚強化ガラスを採用した魅せる要素を取り入れた。加えてAntecらしいスマートなデザインは、現在の自作PC市場に受け入れやすく手堅い。
ちなみに今回検証を行うP20Cには兄弟モデルが存在する。「P20CE」は左サイドパネルが密閉型のソリッドパネル仕様で、内部を魅せるコンセプトとは一線を画す。もちろんロケーションは自由だが、ビジネス用途(オフィスユース)や、イルミネーションで飾る事への対極にあるニーズに応える受け皿となっている。なお型番末尾の「E」は、Enterprise(企業向け)という意味があるという。
Antec「P20CE」 市場想定売価税込13,980円(2023年1月14日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
またAntecからの事前情報によると、P20Cで採用されているシャーシは、2022年9月に国内販売がスタートした「DP503」「DP505 White」と共通筐体であるという。
昨年販売が開始された「DP503」(左)と「DP505 White」(右) |
実機に触れる前に、スペック表からP20Cの概要を把握しておく。外形寸法は幅220mm、奥行き469mm、高さ490mmで、重量は約8.1kg。対応マザーボードはE-ATX(330mmまで)、ATX、MicroATX、Mini-ITXとされる。
最近のPCケースは、ミドルタワーながら制限付きでE-ATX対応を謳うモデルが多い。これはひと頃のようにドライブベイがフロントパネル裏手から方々へ引越した事から、マザーボード右手のスペースが広く空いた事が主な理由。上下スペースはATX規格でも、右方向でE-ATXを表記するケースが多い。実際に活用しているユーザーはどれくらいなのかはさておき、最もチョイスされるであろうATXマザーボードにとっては、良好な周辺クリアランスはプラス材料に違いない。
その他詳細については解説セッションで詳しく見ていこう。なお外装パッケージは幅281mm、奥行き551mm、高さ540mmで、付属品および緩衝材を含めた総重量は約9.32kg。高さが500mmに近いだけに、店頭購入を希望するならカートを用意したい。