エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1248
2023.01.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次なる作業はグラフィックスカードだ。搭載テストにはMSI「GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12G」を用意した。
VGAクーラーにはオリジナル3連ファンクーラー「TRI FROZR 2」を搭載し、カード長はメーカー実測で325mm。P20Cは最大375mmまでのグラフィックスカードに対応するだけに、問題なく搭載ができる計算だ。
拡張スロット2段分を使い、インチネジで固定。補助電源コネクタに電源ケーブルを挿し込めば、程なく作業は完了した。想定通り右手方向には十分なスペースが残されており、ハイエンド志向のグラフィックスカードにとっても居住性は良好と言って差し支えないだろう。
最後に標準装備品の「VGAサポートステー」についても触れておこう。マザーボードトレイ右手に2本のハンドスクリューで固定されたステイ(ステー)は、約85mmのストロークで上下にスライド。搭載するグラフィックスカードの厚さやVGAクーラーの形状に合わせて位置を決める。L字のステイには支えとなる金具がネジ留めされ、これで下支えする仕組みだ。
実際に使用したところ、GeForce RTX 3060 GAMING X TRIO 12Gとの相性もよく、予め決められた上下ストロークの範囲内で下支えできるポジションを見つけ出し固定することができた。汎用性を考慮したシンプルかつ”ありがち”なスタイルだが、極めて実用的な装備品であると感じた。
ただひとつ指摘するなら、上下ストローク中、標準装備の面ファスナーを縦に横断する箇所がある。もしその部分にハンドスクリューを固定するとなれば、面ファスナーを緩めるか移動させるしかない。偶然とは言え、両者は微妙な関係にある現状を、実際に触れた人が体感することになる。
従来モデルと共通シャーシながら、ひねり加えたフロントパネルデザインにより、Antecらしい洗練されたデザインのPCケースが完成した。そして思うのは、左サイドパネルの強化ガラス採用は、魅せるPCの構築を意識したものである事は間違いないが、無闇にイルミネーションで装飾する必要は果たしてあるのか。
異なる素材で質感で強弱をつけたフロントパネルデザインに個性はありつつクセはなく、よくあるものの例えだが「シーンを選ばずに使える」外観。すらりとしたシルエットもスマートで、全体のバランスがよく整えられている。
見映えばかりは主観だが、内部構造も無駄がなく、欲しいものは一通り揃っている。使わずに放置するなら別の用途に使おうという意識はストレージ収納部に感じられ、必要最低限に留めることで全体の居住空間にゆとりを持たせた。
当然物足りないという声もあるだろう。しかし実際に運用してみると、意外にもやりくりできたりする。ユーザーの意識を変えさせる設計は、時に目新しく感じるだろう。イマドキのPCケースにあって、その最新モデルがP20Cであり、ここにAntecらしさを見つけた。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル