エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1248
2023.01.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
凝ったフロントパネルを筆頭に、外観周りをチェックしたところで、P20Cの内部構造に迫って行こう。リアパネルの様子から、内部のレイアウトはおおよそ検討が付くワケだが、Antecならでは、またはモデル特有の仕掛けなどをくまなく見つけて行きたい。
内部構造チェックの一番手として、マザーボードトレイをチェックする。4mm厚強化ガラスを取り払いトレイ面を確認すると、合計9本のスタンドオフが装着されている。言うまでもなくATX規格マザーボードの標準的な本数で、近頃のPCケースでは出荷時よりこの状態だ。なお、マザーボードの固定位置を仮留めできる、段差付きスタンドオフは装着されていない。
ミドルタワーPCケースの定番のひとつ、ボトムカバー(シュラウド)。内部高は実測で約100mmと、多くのPCケースが採用する95mmよりも若干高い。天板には通気孔やグロメット付きのスルーホールを備え、内部には後方に電源ユニット、前方にドライブベイの各搭載スペースが確保されている。
通常より約5mmほど内部高に余裕を持たせたP20Cのボトムカバー。シャーシにはリベットで固定されており、着脱は考慮されていない |
ここからはポイント別に、P20Cの冷却ファンおよびラジエーターレイアウトを解説する。まずチェックするのはフロントファンだ。P20Cは出荷時より3基の120mmファンが標準で装備されている。LEDは非搭載のPWMファンで、回転数や騒音値などの詳細スペックは開示されていない。
スペックは非公開ながら、120mmファン(PWM対応)が3基標準装備。電源供給には付属の4分岐ケーブルが便利だ |
なおこのスペースには140mmファン3基に換装が可能なスリットタイプのネジ穴を用意。ラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズが搭載できるよう、設計されている。ハイエンド志向のCPUを搭載するシステム構築にも、準備は万全というワケだ。
標準装備の120mmファンは7枚ブレードのPWM対応モデル。シャーシ側フロントパネルには、背面からテーパーネジ留めされていた |
トップパネル部にも120mmファン3基または140mmファン2基が増設できる。さらにラジエーターはフロントパネル同様、120/140/240/280/360mmサイズをサポート。CPUソケットに近いとあって、水冷構成の場合はこのポジションが最も選択されるはずだ。
冷却ファンおよびラジエーター増設用のネジ穴はスリットタイプ。いずれも幅約40mmのストロークで、搭載ポジションの調節に対応。通気孔は強度も確保できるハニカム状に打ち抜かれていた |
リアファン搭載スペースには、120mmファンが1基増設可能。最もベーシックな120mmサイズラジエーターも搭載ができる。ネジ穴はスリットタイプを採用し、約40mmのストローク幅を確保。冷却ファンまたはラジエーター固定位置の微調整ができる。
ハニカム状の通気孔を装備。オプション扱いだが、CPUおよびVRM周辺の熱を常時排出させるには、冷却ファンを積極的に増設したい |
ボトムカバー天板部には通気孔が設けられており、このポジションには120mmファンが2基増設できるとされている。この仕掛けは以前詳細検証を行った「FLUX」シリーズでも採用されており、付属の「逆回転ファン」を搭載する事により、提唱する「F-LUX PLATFORM」が完成する。
ただしP20Cは勝手が違い、搭載できるネジ穴はあるものの、逆回転ファンはもとより、通常よりも長い「逆回転ファン固定用ネジ」も付属していない。さらに、F-LUX PLATFORMの特徴である右サイドパネル後方下部の通気孔もない。マニュアルや製品サイトに増設可能の記載はあるものの、実用的であるかは極めて怪しげ。ここは「DP503」「DP505 White」共通筐体である事を思い出し、その名残といった解釈になろう。
120mmファン2基を並べて固定できるものの、やや現実的ではない |