エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1256
2023.02.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
いよいよ虎徹MARK3をパッケージから取り出し、外観デザインから解説を始めよう。筆者が虎徹MARK3を手にした時の第一印象は「前作よりもだいぶ重く感じる」だった。実際に88gも重くなっている事からその記憶は正しく、ヒートシンクの作りも明らかにガッシリとしている。
左が虎徹MarkⅡ Rev.Bで、右が虎徹MARK3。両者を直接見比べる事で、虎徹MARK3の進化が分かる。なお以降は注釈が無い限り、左が前作・右が新作の立ち位置で進行する |
ここからは個別に細部をチェックしていく。CPUクーラーにとって、どこをとっても冷却性能を司る重要な部分だが、ことヒートシンクは”要の中の要”と言えるだろう。
サイズオリジナルCPUクーラーと言えば、薄い放熱フィンが積み重なりカタチを成しているのが常で、冷却性能を高めるひとつの手法でもあった。一方で虎徹MARK3は、放熱フィンを0.4mm厚とし、従来モデルとは明らかに違う重厚なものに変更されている。これこそが「前作よりもだいぶ重く感じる」部分であり、前作との88g差の多くはコレに該当するワケだ。
ヒートシンクは放熱フィンの固まりだが、虎徹MARK3の場合合計52枚の0.4mm厚アルミニウム製放熱フィンで構成。メモリスロットへの干渉を回避する幅54mmの「ナロータイプフィン構造」は、形状の異なる2枚の放熱フィンで組み合わされ、「M.A.P.S(Multiple Airflow Pass-through Structure):多重エアフロー透過構造」を作り上げている。交互に異なる放熱フィンを重ねて行く事で、エアフロー効率を向上させ、冷却ファンからの風をスムーズかつ有効に取り込もうという考えだ。
「多重エアフロー透過構造」(M.A.P.S.)および「ナロータイプフィン構造」は、初代・虎徹から脈々と続く製品コンセプトの柱でもある |
さらに「干渉回避型デザイン」もサイズオリジナルCPUクーラーのこだわりと言えよう。そのひとつはナロータイプフィン構造だが、放熱フィン自体を後方にずらす「オフセット設計」は、メモリスロットの上空にフレームがはみ出さないよう冷却ファンをマウント。さらにベースプレートの中心からヒートシンクの中心をずらすことで、グラフィックスカードとの物理的干渉をできる限り回避しようとしている。
サイズ独特の「言語」による解説はすっかりお馴染みだが、冷却性能を保持しながら周辺とのバランスをうまく取るスタンスは、非常に説得力があり、多くの自作派をうなずかせる部分だ。この丁寧さが国内設計であるサイズの強みと言えるだろう。
真横から見てよく分かる放熱フィン自体を後方にずらす「オフセット設計」 |
なるほどベースプレートの中心からヒートシンクの中心が微妙にずれている。グラフィックスカードへの配慮もCPUクーラーに課せられているのはやや気の毒でもある |
さらに前作と異なるのがトップカバー。ABS樹脂製のカバーにヘアライン調デザインを施し、中央にサイズのロゴマークをあしらった。魅せるPCケースでの露出を意識しての装飾は取り外しは考慮されていない |
新旧ヒートシンク比べ。放熱フィンの枚数は虎徹MarkⅡ Rev.Bが56枚に対し、虎徹MARK3は52枚。減数と感じるかもしれないが、フィン厚が0.4mmになったことでヒートシンクとしての質が一段向上したように思える |
ナロータイプフィン構造も幅58mmに対し幅54mmに変更。進化すべきところはキチンと進化している |