エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1261
2023.03.04 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
各種ベンチマークによるパフォーマンス検証が済んだところで、ここではトレードマークでもある「TRI FROZR2」の冷却性能に迫っていこう。計測に際しては、3Dベンチマーク「3DMark」に搭載されているストレステストの「3DMark Speed Way Stress Test」を使用した。
冷却ファンの回転数は、負荷に合わせてリニアに変動。GPU温度が60℃をキープするように、スマートに動作している。ベンチマーク動作前はセミファンレスの「ZERO FROZR」が機能してファンを停止させており、可能な限り騒音を抑える動作パターンに設定されているようだ。回転数も最大1,700rpm程度と余裕を残しており、騒音自体もPCケースに組み込んでしまえば気にならない程度に収まっていた。
最後は「GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO 8GD6X」が動作している際の消費電力をチェックし、各種テストセッションを締めくくろう。計測には先ほど同様に「3DMark」のストレステストである「3DMark Speed Way Stress Test」を使用。テスト動作時における最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、ワットチェッカーによる計測を行った。
システム全体でもアイドル時の消費電力は90W未満、フルロード時でも400Wを割り込む程度に収まった。オーバークロック仕様でも負担はそれほど大きくはなく、組み合わせる電源ユニットも750~850W程度のミドル向けモデルで十分だろう。
たいていのゲームタイトルにおいてWQHD解像度の快適プレイが可能であり、場合によっては4Kプレイも視野に入るGeForce RTX 3060 Tiは、ミドルユーザーにとって頼もしい選択肢だ。メモリ周りがGDDR6X仕様にアップグレードしたことで、従来から性能の上積みもある。15~20万円程度でシステムを組もうという向きにGeForce RTX 40シリーズは価格的に論外になるところ、そうしたミドル層を対象とした市場での主力を担うGPUとして、しばらくGDDR6X版のGeForce RTX 3060 Tiは大きな存在感を発揮しそうだ。
その中にあって、今回検証した「GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO 8GD6X」は、やや高めな部類に入るグラフィックスカード。しかし通常より高めのクロック設定にチューンされているOC仕様である点、さらに1kgオーバーの巨大クーラーによる余裕の冷却性能と静音性など、完成度の高さは一段上という印象だ。それなりに長いスパンで使い続けることを考えるなら、出来の良いカードをチョイスする意義は大いにある。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社