エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1267
2023.03.20 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
PCIe 5.0 SSD向けに設計された別売りのヒートシンク「Blazing M.2 Gen5 Fan-Heatsink」。サーモグラフィの撮影のためグラフィックスカードは取り外してチェックしているが、専用設計らしくバックプレートを備えたグラフィックスカードを取り付けた場合でも一切干渉することはなかった |
AMD X670Eチップセットを採用する「X670E Steel Legend」では、グラフィックスカード向けのPCI Express(x16)スロットに加え、M.2スロットもPCI Express 5.0(x4)接続に対応する「Blazing M.2」が用意されている。そこで今回はオプションのヒートシンク「Blazing M.2 Gen5 Fan-Heatsink」と、Nextorageからまもなく登場する予定のPCI Express 5.0(x4)SSDの評価サンプルを借り受け、その動作を確認してみることにした。なおファンの回転数は、「インタラクティブUEFI」から「Silent Mode」「Standard Mode」「Performance Mode」「Full Speed」の4種類を選択している。
Nextorageから借り受けたPCI Express 5.0(x4)SSDの評価サンプル。ヒートシンクの放熱性を確保するためコントローラにラベルは貼り付けられていない |
評価サンプルということで型番はまだ登録されていないものの、転送モードは「PCIe 5.0 x4」に対応し、NVMe規格も最新の2.0をサポートする |
「Blazing M.2 Gen5 Fan-Heatsink」のファンは、「CHA_FAN4/WP」に接続して4種類のファン設定を試している |
「Silent Mode」選択時の「CrystalDiskMark 8.0.4」スコア | 「Standard Mode」選択時の「CrystalDiskMark 8.0.4」スコア |
「Performance Mode」選択時の「CrystalDiskMark 8.0.4」スコア | 「Full Speed」選択時の「CrystalDiskMark 8.0.4」スコア |
「Silent Mode」選択時のサーモグラフィ | 「Standard Mode」選択時のサーモグラフィ |
「Performance Mode」選択時のサーモグラフィ | 「Full Speed」選択時のサーモグラフィ |
いずれの設定でも転送速度はシーケンシャル読込、書込とも10,000MB/sを超え、サーマルスロットリングによる速度低下も発生しなかった。またSSDの温度は、「Silent Mode」では最高71℃まで上昇するものの、「Standard Mode」以上の設定ではいずれも65℃を超えることはなかった。さらにサーモグラフィの結果を確認すると、やはりファンの回転数が上昇するに従って全体の温度が低くなっていることがわかる。
続いてファンの回転数を確認すると、「Silent Mode」が約3,800rpm、「Standard Mode」が約7,000rpm、「Performance Mode」が約8,600rpm、「Full Speed」が約13,800rpmだった。ノイズレベルは「Standard Mode」までは30dBA以下で、風切り音はほとんど気にならない。また「Performance Mode」でも42.7dBAで、風切り音は確実に大きくなるが、うるさく感じるほどではなかった。しかし、「Full Speed」では一気に52.4dBAまで上昇し、かなり耳障りに感じた。冷却性能とノイズのバランスを考えると「Standard Mode」、もしくは「Performance Mode」で運用するのがオススメだ。
テストセッションのラストは「X670E Steel Legend」の電源回路の実力を確認するため、「CINEBENCH R23:30 minutes(Test Stability)」による高負荷テストを実施することにした。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
Package Powerは「RYZEN MASTER」で設定されているPPTに合わせて160W前後、動作クロックは4,800MHz前後で安定しており、Ryzen 9 7950X3Dのブースト状態を常に維持することができている。またMOSFETの温度を測定することはできなかったが、CPU周りにエアフローのないオールインワン型水冷ユニットを使用した場合でも電源回路周辺のサーモグラフィ温度は最高54℃までしか上がらず、冷却性能にも全く問題はなかった。
今回はASRockの人気シリーズ「Steel Legend」から、Socket AM5に対応する「X670E Steel Legend」の検証を行ってきた。ハイエンドモデルでは10万円を超える製品もザラなAMD X670Eチップセットの中では廉価帯に位置づけられる製品ながら、合計19フェーズの強力な電源回路やサーバーグレードの8層PCB、大型のヒートシンクを備え、Ryzen 7000X3Dシリーズの最上位モデルRyzen 9 7950X3Dの性能を存分に引き出すことができた。
また10GB/sを超える高速ストレージを実現するPCI Express 5.0(x4)接続の「Blazing M.2」や、6,000MHzを超えるオーバークロックメモリを安定動作させることができるDDR5メモリスロット、帯域幅20GbpsのUSB 3.2 Gen 2×2 Type-Cポートなど、高速なインターフェイスも充実している。
さらに帯域幅制御に対応する2.5ギガビットLANを含む3系統のネットワークや、Realtek ALC1220とニチコン製オーディオコンデンサで構成されるNahimic対応の高音質なオーディオ回路など、ゲーマーが必要とする機能ももれなく搭載している「X670E Steel Legend」は、Ryzen 7000X3DシリーズでゲーミングPCを構築したいユーザーにはぴったりのマザーボードと言えるだろう。
協力:ASRock Incorporation