エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1269
2023.03.25 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、よりゲームプレイに近い負荷をゲーム系ベンチマークテストを利用して再現。まずは「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークを動作させ、その際の挙動を見ていこう。グラフィックス設定は「最高品質」で、解像度は3,840×2,160ドットにセット。テストはこれまで同様に30分間ループで連続実行している。
なお、ベンチマーク動作中の消費電力は最大546Wで、負荷率は45%といったところだ。
これまでのテストに比べて派手に数値が動いているのは、頻繁にロードを挟むテストのため。やはりロードを挟む機会の多い実際のゲームでも、同様の挙動を示している可能性が高いだろう。
ただし変動幅自体は大きくなく、常に定格値以上を維持していたATXは0.2%未満の上振れに留まった。CPU補助電源も常に定格以上で動作しており、上振れは最大0.3%程度。テスト中の主要なシーンはほぼ12.01~12.02Vという、一定と言っていい範囲で動作していた。12VHPWRも0.1%未満/約0.3%という極小の振れ幅であり、動作の安定性に疑いはない。
最後は同じく長時間ループに対応したゲーム系ベンチマークの中でも、より負荷の大きな「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを実行。あらためてその際の挙動を見ていこう。グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択、解像度は3,840×2,160ドットで、やはり30分間連続で動作させている。
なおベンチマーク中における消費電力は最大575Wで、負荷率は48%ほど。一般的に電源が最も効率的に動作する50%の負荷に近い、理想的な環境で動いていたことになる。
ATXとCPUは常に定格値以上で動作しており、ATXは0.2%未満、CPUも0.25%の上振れに留まっていた。12VHPWRも上振れは0.3%程度であり、下振れはさらに小さい0.2%未満。全体的にどのテストでもデザインガイドの許容範囲よりも大幅に小さい、極小の変動で動作していた。かなり厳格な電圧レギュレーションが設定されているようだ。
テストセッション前に実際に組み込んでみた際の素直な感想は、「これはこれでアリ」と言ったところ。PCケースの裏配線スペース次第で自由度は変わってきそうだが、組み込む際に電源ユニットの奥行きは、事実上気にする必要がなくなる。グラフィックスカードやストレージを換装・増強する際にケーブルの追加を迫られた場合も、シュラウド内で手探りしたり電源ユニットを引き出す必要なく、スムーズに行える点は素晴らしい。
コネクタからの“方向転換”が少ないことから、より素直な配線が可能で組み込みやすさが向上。規格が変わったわけではなく、発想の転換による改善である点が、馴染みやすさに繋がっている。こうした規格の範囲内での新しい発想というアプローチは、今後流行っていく可能性があるかもしれない。
また、ギミックに頼らない電源ユニット本来の信頼性の高さも好印象。GOLD認証の1200Wモデルとして高すぎない価格もまた、「RM1200x Shift」の魅力を高めている。PCケースの裏配線スペースをチェックしつつ、恐れることなくチャレンジしてほしい1台だ。
協力:CORSAIR