エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1270
2023.03.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次はドライブベイレイアウトを個別にチェックしていこう。メインとなるのは、ボトムカバー内部前方に設けられたシャドウベイユニット。シャーシ底面にハンドスクリュー2本で固定されたユニットには、2つの専用トレイが収納され、2.5インチSSDまたは3.5インチHDDがマウントできる。
専用トレイへの搭載方法は、2.5インチSSDが底面ネジ留め、3.5インチHDDはトレイ側面の突起がネジ穴をロックするツールフリー仕様が採用されている。なおケーブルの配線の都合から、コネクタは右サイドパネル側に向けて固定する事になる。
専用トレイはABS樹脂製。フレキシブルな素材の特性を生かし、3.5インチHDDはツールフリーで装着が可能。ユニット自体は完全に取り外す事もできる |
マザーボードトレイ背面のCPUクーラーメンテナンスホール下側の空きエリアには、2.5インチSSDが2台並べて搭載できる専用ブラケットが装備されている。下部は2箇所を引っ掛け、上部は小さなハンドスクリューによる着脱式。2.5インチSSDの固定には、独立したトレイ背面からネジ留めを行う。
なお専用トレイは、ボトムカバー天板部にも移設が可能。強化ガラス製サイドパネル越しにSSDの銘柄をアピールするなど、用途に合わせて設置場所が変更できる。
専用トレイネジ穴部にはバーリング加工が施され、SSD底面はトレイ面に直接接触することなく固定できる |
多くのPCケースが有効活用するメンテナンスホール下の空きエリア。スリムで小型なストレージである2.5インチSSDには格好の場所だろう |
ボトムカバー天板部に移設が可能。銘柄のアピールに加え、裏配線スペースの確保といったメリットも考えられる |
拡張スロットはATX規格の標準である7段に加え、Vertical=垂直スロットが2段装備されている。特に後者は左サイドパネルに強化ガラスを採用するとあって、グラフィックスカードを垂直に装着する事でより存在がアピールできる。これを実現させるには、別売りのライザーケーブルが必要だが、ボトムカバー天板には基板固定用のネジ穴も用意されていた。
一方、水平スロットは近頃標準になりつつあるブリッジレス式の採用は見送られ、従来通りの枠付きスロットだった。多くの場合不都合はないが、CORSAIRもこの辺りは徐々に追随してくるのではないだろうか。
独立した拡張スロット金具は、おのおのがハンドスクリューでネジ留め。金具には三角形の通気孔が設けられていた |
ボトムカバー(シュラウド)内部後方は、電源ユニット搭載スペースだ。高さ95mmのカバー内に、ATX規格値である高さ86mmの電源ユニットを収納。スペック表には有効スペースが最大180mmまでと明記されている。NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ等のハイエンドグラフィックスカードを搭載する場合、高出力電源ユニットが必要になってくるため、奥行き180mmまでのスペースは若干心許なく感じるかもしれない。
そこで実際に隣接するシャドウベイユニットまでの距離を測ると、約225mmのスペースがあった。例によってメーカー公称値は電源ユニットのケーブル(着脱式コネクタ)部分も考慮しての数値であり、実際には180mm以上の空きは確認できる。
さらにシャドウベイユニットは搭載位置を前方に約40mm移動が可能。この状態では有効スペースの実測が約265mmまで拡大できる。電源ユニットにとってはメリットだが、一方でシャドウベイユニットが前方に詰まる事で、フロント部標準の冷却ファンとの距離が近くなり、前面に長尺ラジエーターが搭載できなくなる。これらを考慮し、どのようなシステムを組み上げるのか、構成パーツを購入する以前に折り合いを付ける必要がある。
シャドウベイユニット底面には前方へ約40mm移動できるネジ穴がある。電源ユニットの居住スペースは拡大するもののフロントファンとはかなり接近するため、360mmサイズラジエーターは設置ができなくなる |