エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1272
2023.04.02 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
ここからは、より実際のゲームに近い負荷を再現するため、長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークを実行する。その代表格である「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークをチョイス。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセットし、同様に30分間連続で動作させている。
ベンチマークテスト動作時の消費電力は最大635Wで、今回の検証では最も小さい数値だった。システム負荷率は50%を多少割り込む程度で、効率面では理想に近い負荷と言える。
これまでのテストに比べて電圧の変動パターンが忙しいのは、頻繁にロードを挟むテストのため。CPUとGPUに常時最大級の負荷がかかるストレステストに比べ、通常のゲーム動作に近い負荷と言える。
ただし変動幅自体は大きくなく、ATXで0.5%程度、CPUは0.2%未満の下振れに留まっている。これまで同様に最も変動が大きいのはグラフィックス用の12VHPWRだが、それでも最大で1%にすぎない。断続的に負荷がかかるシチュエーションにおいても、優れた信頼性を発揮している点は好印象だ。
引き続き長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークテストから、より負荷の大きな「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを動作させてみる。グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択、解像度は3,840×2,160ドットに設定し、これまで同様に30分間連続で実行した。
ベンチマーク中の消費電力は最大697Wで、システム負荷率は50%をやや超える程度。中程度から重めのゲームタイトルであれば、今回の構成ではほぼ理想に近い変換効率で動作させることが可能なようだ。
これまで同様に、12V基準での上振れについてはほとんど無視していいレベル。下振れもATXはわずかに0.5%、CPUもほぼ同様で、最も変動の大きい12VHPWRでも1%を超える程度に収まっていた。いずれのテストでもATX 3.0規格で許容される変動幅(PCIeコネクタ以外で5%/-7%)に対しては相当なマージンがある。パターンの異なる負荷でも動揺することなく、極めて高い安定性を示してくれた。
MSI渾身のフラッグシップ電源とあって、「MEG Ai1300P PCIE5」がもつ機能の優秀さはホンモノだ。+12V最大108Aのパワフルさを備えつつ、極めてブレの少ない堅実な動作はウルトラハイエンドマシンの心臓に相応しい出来栄え。自慢の静音ファンはフルロード時でも静粛そのもので、冷却仕様をセミファンレスと常時回転で選択できる点も嬉しい。
そして「MSI G.I.」エンジンによる詳細なモニタリングに加え、シングルレーン・マルチレーンを切り替えられる機能、さらにログ取りも可能という、電源ユニットにとって全部入りと言っていい機能が詰め込まれている。
また、ゲーミングマシンとも相性の良い高機能ぶりながら、派手さを抑えた上品かつ高級感あるデザインも好印象。どのようなシステムとの組み合わせでも悪目立ちせず、しっかり調和してくれるはずだ。6万円半ばというプレミアムな価格設定に尻込みする向きもあるかもしれないが、それだけの価値があるということも確か。エンスージアストの求める性能と信頼性を備えた、最高峰のATX 3.0電源の一つに挙げられる。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社