エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1276
2023.04.15 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
大型ゲーミングPCケース、MSI「MEG PROSPECT 700R」の外装周りを確認した後は、内部構造を解説していく。なおチェックを進めるにあたり、両サイドパネルやトップパネル、フロントパネルなど適宜取り外しての作業を行った。目的は点検中の予期せぬトラブル(破損や傷を付ける可能性)を未然に防ぐ観点、そしてなにより重量を軽くして検証をし易くしようという試み。空の状態で約16kgはボディの角度を少し変えるだけでも一苦労だ。
強化ガラス製左サイドパネルを外してまず目に付くのが、マザーボードトレイだ。文字通りマザーボードを設置するトレイだが、ここには出荷時よりATX規格の標準である9本のスタンドオフ(台座)が装着されていた。うち中央の上段と中段の2本は段差付きで、マザーボード設置ポジションの仮置きに重宝する。
なお付属品の中に「E-ATX motherboard bracket」と名付けられたプレートがある。これを装着済みの前方のカバーと交換することで、マザーボードの右方向のスペースが拡大。E-ATX規格(最大310×304.8mm)が搭載できるようになる。
そもそもE-ATX規格のマザーボードは選択肢が限られており、主にサーバー用途というイメージが強い。MEG PROSPECT 700Rの強い個性がサーバー用途に合うかは別として、幅広くフォローする設計はプラスに捉えるべきだろう。ただし付属のブラケットが不要になる人は多いはずで、賛否が分かれる部分かもしれない。
標準装備のカバーを「E-ATX motherboard bracket」に換装した状態。スタンドオフ(台座)もE-ATX搭載用に4本が追加される |
大型で高額なPCケースとあって、通常リベットで固定されているボトムカバー(シュラウド)は、前・後セパレートで着脱ができる。実測で内部高約98mmのボトムカバー内は、前方がケージタイプのシャドウベイユニット、後方が電源ユニット搭載スペースに割り当て、それぞれをカバーで覆う事になる。MEG PROSPECT 700Rに限った事では無いが、システム構成が複雑になる事で始末に困る複数のケーブル類を閉じ込めれば、強化ガラス製左サイドパネルから最小限の露出に留める事ができる。
一概には決めつけられないものの、ケーブルマネジメント機構の要所としての役割が大きいボトムカバー |
2ピース構造のボトムカバーは取り外しが可能。前方はABS樹脂製で2本のハンドスクリューと2本のファスナー、後方はスチール製でマザーボードトレイおよび底面各3本のハンドスクリューで固定されている |
前・後ボトムカバーが外れるメリットを考えてみよう。真っ先に思いつくのは、組み込み時の作業効率の向上。大型で大容量とは言え、複数の構成パーツを組み込む上で、より広いスペースが確保できる事はメリットだ。またプラグインタイプの電源ユニットなら、ケーブルコネクタの抜き挿しもしやすくなる。推奨されていないが、組み込み作業時は「一時開放」など、やりくりしてもいいだろう。
前・後ボトムカバーを取り外した開放状態。中央にケージタイプのシャドウベイユニットが露わになる。なお底面を利用した冷却ファンまたはラジエーターの設置は想定されていなため、開放状態での常用は想定されていない |