エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1283
2023.05.03 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
新作のほとんどが編集部にやってくるメーカーのひとつであるAntec。今回取り上げる「Performance 1 FT」は、兄弟モデルが複数存在するミドルタワーPCケース「FLUX」シリーズ等とは一線を画した、まったく新しい設計のフルタワーPCケースだ。
Antec「Performance 1 FT」 実勢価格税込約25,000円(2023年4月8日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
Antec本社スタッフからの事前ヒアリングによると、同社のフルタワーPCケースとしては実に8年振りの新作だという。ちなみに8年前のモデルとは徹底検証をお届けした「P380」の事で、得意の静音を前面に押し出したPerformance Oneシリーズの上位機種として人気を博した。
ずいぶんと間を置いての新作フルタワーPCケースだが、当時からは自作PC市場のいわゆるトレンドは大きく違っている。「P380」はAntec得意の静音志向がテーマだが、大容量を生かしたストレージ収納力が最大のウリで、2.5/3.5インチシャドウベイが実に8段もフロントパネル裏手に装備されていた。
2015年2月に検証を行ったフルタワーPCケース「P380」の内部構造。外形寸法は幅223.6mm、奥行き557mm、高さ555mmで、「Performance 1 FT」よりも若干大型。なお当時は強化ガラスが一般的ではないため、アクリルウィンドウが主流だった |
そしてもうひとつ時代を感じさせるのが、明らかにラジエーター搭載を前提に設計されていない点だろう。現在のようにオールイワン型水冷ユニットの選択肢も決して豊富とは言えず、長尺ラジエーターはDIY水冷(本格水冷)以外では考えられなかった。PCケースは大きく規格が変わらないだけに”長く使えるPCパーツ”とされている。それ自体間違いではないが、徐々に生じる現代の自作PC事情とのズレは否めず、それらに応じてアップデートしていく必要性を感じざるを得ない。
今回取り上げるPerformance 1 FTは、8年の歳月を経て誕生した新型フルタワーPCケースであり、自作PC市場のトレンドがアップデートされた進化の結果とも言えよう。当時との違いや進化の程度を知るべく、2015年2月に検証を行った「P380」の様子を是非ご一読頂ければと思う。
間もなく実機に触れるワケだが、その前にPerformance 1 FTをスペック表から読み解いてみよう。まず対応マザーボードはE-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITX。フルタワーPCケースを謳うだけあって、E-ATXの対応は当然と言ったところだろう。ただし幅285mmまでの制限が表記されているので注意が必要。とは言えコンシューマ向けのプロダクトとしては、十分にスペースが確保されている事は想像できる。
主素材はスチールで、副素材にプラスチック(ABS樹脂)、強化ガラスを使用。要所の使い分けにより、実用性とデザイン性を上手に融合させている。その他内部構造などの詳細スペックについては、検証を読み進めるうちに全てが分かるというワケだ。
外装パッケージはいわゆる茶箱で、サイズは幅305mm、奥行き595mm、高さ603mm。付属品および緩衝材を含めた総重量は約14.85kgとされる。気になる店頭購入での持ち帰りだが、さすがにフルタワーPCケースとあって、キャリーカートの準備は必要だろう。昨今配送料も高くなっていることから、熱心な自作派ならそろそろ”マイキャリーカート”の購入も検討するタイミングかもしれない。