エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1303
2023.06.25 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
続いて、NSPRが169に設定されている120mmファン搭載サイドフローCPUクーラー「NH-U12A」の結果を確認していこう。なおCPUクーラー以外のテスト条件は「NH-D15」とすべて同様とした。
Ryzen 9 7950XのPPT=230W設定では、標準時、オフセット時とも負荷が掛かるとCPUの許容最高温度95℃に達してしまうため、その差は0.48℃に留まる。そしてPPT=190W設定でも標準時の平均温度88.61℃に対して、オフセット時の温度は87.79℃で、その差は0.82℃しかなく、「NH-D15」ほどの効果は得られなかった。
またRyzen 9 7950X3Dでも、標準時の平均温度は82.94℃、オフセット時の温度は82.15℃でその差は0.79℃に留まり、やはり「NH-D15」に比べると差が縮まっている。このことからOffset AM5 Mounting Barの能力を十全に活かすためには、CPUクーラー自体の冷却性能がポイントになる事がわかった。
あらためて心得ておきたいのは、Offset AM5 Mounting Barがすべての環境において、CPU温度が3℃低下するわけではないという事。そもそもNoctuaはプレスリリースにおいてその旨がしっかりと記されている。
シリーズ名が示している通り、Offset AM5 Mounting BarはAMD Socket AM5用に作られたパーツで、Socket AM4との互換性はある。ただしRyzen 5000およびRyzen 3000シリーズでも”僅かな改善が得られる可能性がある”とされる程度で、その記述はかなり消極的だ。
Noctuaが公表しているOffset AM5 Mounting Barによる効果 |
実際にテストセッションでも分かる通り、Offset AM5 Mounting Barの売りである”最大-3℃”を実現するには、CPUクーラー自体の高い冷却性能≓余力が必要。そしてチョイスするCPUとの組み合わせにより、MAXのポテンシャルを引き出す事ができる。
場合によっては全く効果が得られないケースもあるだろう。しかしCPUの内部設計を理解し、それに合わせて既存製品をアップグレードできる(それも金属小片で!)Offset AM5 Mounting Barは、冷却に対する真摯で実直なNoctuaの取り組みから生まれた、実にNocutaらしいトピックだった。
協力:Noctua