エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1307
2023.07.04 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
コンセプトは、派手なRGBライティングを好まない控え目さと、リビングルームに溶け込むスタイル。Fractal Designの新作「Ridge PCIe 4.0」は、そこに軸を置いた、スリム型PCケースだ。
Fractal Design「Ridge PCIe 4.0」 市場想定売価税込26,400円前後(2023年6月16日発売) 製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク) |
その昔、この手のスタイルはビジネス用途(または学習向け・ネットサーフィン用)などのイメージが根強くあった。ミドルタワーPCケースに比べ、設置場所を選ばない点は圧倒的に有利な点だが、一方で拡張性に乏しく、ハイエンドクラスのパーツが搭載できないといったネガティブな部分が、熱心な自作派たちの心を大きく動かさない要因だろう。
当然そんなユーザーの心は熟知しているFractalが、敢えてスリム型PCケースを市場に投入した理由はどこにあるのだろう。そしてFractal流のアプローチは、多くの自作派たちにどう受け入れられるだろうか。製品サイトや手元の資料には一切「ビジネス用途」の文言はなく、普段使いからゲーマーまで最も多い自作PC層に対し、自信を持ってオススメするのがRidge PCIe 4.0なのだ。
6月16日より販売が開始されたRidge PCIe 4.0だが、遡る事昨年11月16日付グローバルリリ-スで既に発表がされている。Fractal製品が発表から半年以上、国内販売されない事は希で、これを不思議に思った読者も多いだろう。
国内代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)のFractal担当者に確認すると、リリース当初(2022年6月)、内部電源中継ケーブルがPSE非対応であった事からはじまり、その後、グローバル市場で先行販売された非PSEケーブル版にPCIe 4.0基板周りで相性が発生。これらをクリアしたのが、今回販売に漕ぎつけた「Ridge PCIe 4.0」というワケだ。ちなみに海外で流通しているモデルも、現在では「Ridge PCIe 4.0」に変更されている。
検証の本編に入る前に、Ridge PCIe 4.0の概要をスペック表からご紹介しよう。なおスペックの表記は株式会社アスクの製品ページに準拠している。
対応マザーボードはMini-ITXで、ケースタイプはスリム型に分類。設置条件は縦置き(垂直)と横置き(水平)の2パターンで、外形寸法は縦置き状態で幅110mm、奥行き374mm、高さ395.4mm。横置き状態で幅375mm、奥行き360mm、高さ115mmとされ、重量は4.3kgとされる。
カラーバリエーションとして、ブラック(型番:FD-C-RID1N-11)も同時発売 |
スリムないわゆるブック型PCケースである事は確かながら、縦置き時の高さ395.4mmは”従来の概念にある”ビジネス用途が主なそれとはやや異なり、筆者も初見で想像以上に大きい印象を持った。
なおパッケージは幅167mm、奥行き426mm、高さ431mmで、付属品および梱包材を含めた総重量は5.5kg。思いの外高さがあるとは言え、ミドルタワーPCケースに比べれば全体にはコンパクトであり、さすがに店頭購入による持ち帰りは問題ない。