エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1309
2023.07.08 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
今回はPCI-Express5.0(x4)接続にも対応する最上段のM.2スロットを使い検証を実施した |
「A-M2HS03-BK」の取り付けが完了したところで、ここからは気になる冷却性能をチェックしていこう。テスト用のSSDはPCI Express 4.0(x4)SSDでは最速クラスとなる最高7,200MB/sのCFD「PG4NZL」シリーズの1TBモデル「CSSD-M2M1TPG4NZL」を使用し、ストレステストには「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続実行した。なお比較対象としてASRock「Z790 Steel Legend WiFi」に標準装備されているヒートシンクでも計測を行っている。
「Z790 Steel Legend WiFi」のM.2ヒートシンクは、マザーボードに標準装備されている中では比較的大型なこともあり、高負荷時の温度は最高でも66℃。サーマルスロットリングと思われる症状もなく、PCI Express 4.0(x4)SSDを扱うなら問題ない冷却性能を備えている。
続いて「A-M2HS03-BK」の結果を確認すると、最高温度はわずか39℃で頭打ち。「Z790 Steel Legend WiFi」のヒートシンクからは実に27℃も温度が低下しており、ターボブロワーファンの効果は劇的と言っていい。アイドル時と高負荷時の温度差も10℃に留まり、これまで色々なオリジナルM.2 SSDヒートシンク/クーラーやマザーボードのM.2ヒートシンクをチェックしてきたが、間違いなく最高峰の冷却性能を発揮する。
続いて、さらにコントローラの発熱が大きいPCI Express 5.0(x4)接続のCrucial「T700」の2TBモデル「CT2000T700SSD3」(製品版)でもテストをしてみることにした。
「Z790 Steel Legend WiFi」のヒートシンクでは、1回目のテストで最高温度は78℃まで上昇する。そして、2回目以降のテストではいずれもしきい値の81℃に達し、サーマルスロットリングによって転送速度が大幅に低下してしまう。
一方「A-M2HS03-BK」では、1回目から3回目までグラフの形状はほぼ変わらず。最高温度も55℃までしか上がらず、コントローラの発熱を完全に抑え込むことに成功している。もちろんサーマルスロットリングによる速度低下も全くなく、常に最高速度を維持することができる。
ヒートシンクの上にターボブロワーファンを搭載するという、やや強引とも言える手法を採用する「A-M2HS03-BK」だが、その冷却性能はまさに圧巻。PCI Express 4.0(x4)SSDなら転送速度が7,000MB/sを超える最速クラスの製品でも、温度上昇を最小限に抑えることができる。
さらにコントローラの発熱が強烈なことで知られているPCI Express 5.0(x4)SSDでも最高温度は55℃で頭打ち。サーマルスロットリングによる速度低下を完全に解消することができた。また温度が大幅に低下することで、各パーツの掛かる負担も減り、製品寿命を伸ばす効果も期待できるだろう。
マザーボードに標準装備されているヒートシンクと違い、使用することで見た目の統一感がなくなるというデメリットは確かにある。しかし、その点を考慮しても「A-M2HS03-BK」の圧倒的な冷却性能は大いに魅力。PCI Express 4.0(x4)のハイエンドモデルや、PCI Express 5.0(x4)のM.2 SSDを導入するならぜひ合わせて購入したいアイテムだ。