エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1310
2023.07.10 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
SK hynix「Beetle X31」シリーズ SKHPU3-001T(1TB) 販売価格税込21,000円前後(2023年7月現在) 【この製品をAmazonで購入する】 SKHPU3-512G(512GB) 販売価格税込11,000円前後(2023年7月現在) 【この製品をAmazonで購入する】 製品情報(SK hynix) |
本題に入る前に、エルミタレビューでは久しぶりの登場になるSK hynixについて簡単におさらいしておこう。その歴史は古く1983年に韓国で設立された半導体メーカーHyundai Electronics Industriesまで遡る。1999年には同じく韓国のLG Semiconductorを吸収合併し、2001年には社名をHynix Semiconductorに変更。さらに2012年には韓国のSKグループ傘下に入り、社名も現在のSK hynixへと変更されている。
韓国・京畿道の利川市には本社の他、M16(右上のオレンジ屋根)とM14(左上のオレンジ屋根)の2種類の工場を備える |
設立当初はDRAMを中心に扱っていたが、2000年代前半にNANDフラッシュメモリ事業へ進出。その高い技術力を活かし2017年に業界最高積層を誇る「72層3D NAND」の開発に成功。その後も2019年には「128層4D NAND」 、2020年には「176層4D NAND」、2022年には「238層4D NAND」の開発に成功するなど、常にその時代の最先端を走り続けている。
さらに2020年にはIntel CorporationのNANDフラッシュメモリ事業の買収を発表し、アメリカの独立子会社としてSolidigm(本社:アメリカ カリフォルニア州)を発足するなど、事業規模も順調に拡大している。
またDRAMの分野でも世界初のDDR5 DRAMをリリースしたのを始め、世界最速のモバイル用DRAM「LPDDR5T」や世界初の「HBM3」など、モバイル向けやグラフィックス向けの製品も積極的に展開しており、今やNANDフラッシュ、DRAMとも世界有数のシェアを誇る巨大半導体メーカーになっている。
そのSK hynix初のコンシューマ向けポータブルSSDが今回の主役である「Beetle X31」だ。“Beetle”という製品名からも分かる通り、コガネムシ(甲虫)をイメージした滑らかな曲線を描くコンパクトな筐体は、美しいシャンパンゴールドに塗装されており高級感のある仕上がり。
また筐体素材には放熱性に優れるアルミニウムを採用。コントローラやNANDフラッシュを効率よく冷やすことで、高負荷時状態でもサーマルスロットリングによる速度低下を抑え、安定した転送速度を発揮できるよう設計されている。さらに2mの落下テストに耐える堅牢性も併せ持ち、重要なデータを安全に持ち運ぶことができる。
製品のモチーフでもある“コガネムシ“が大きくデザインされたパッケージ。製品にはUSB Type-C to Type-CとType-C to Type-Aのケーブルの他、透明なシリコンケースが付属する |
容量ラインナップは今回検証する1TBモデル「SKHPU3-001T」の他、512GBの「SKHPU3-512G」の2モデル展開。インターフェイスは帯域幅10GbpsのUSB 3.2 Gen 2 Type-Cで、製品にはUSB Type-C to Type-CとType-C to Type-Aの2種類のケーブルが付属する。
「Beetle X31」の本体は環境に配慮して、紙製の衝撃緩衝材に周囲を保護された状態で収納されていた |
またコントローラや搭載NANDフラッシュは明らかにされていないが、ポータブルSSDとしては珍しくDRAMキャッシュを搭載しているのも特徴。転送速度はシーケンシャル読込1,050MB/s、書込1,000MB/sとされ、いずれもインターフェイスの限界に迫るパフォーマンスが謳われている。なお「Beetle X31」をはじめ、SK hynixブランド製品の国内販売は株式会社日立エルジーデータストレージが担当している。