エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1312
2023.07.15 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いてゲーム性能への影響を確認するため、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレベンチマーク」「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」「Cyberpunk 2077」のテスト結果を確認していこう。なお解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3種類で、DLSSやレイトレーシングに対応しているゲームは、いずれも機能を有効にしている。
「CINEBENCH系」ベンチマークのマルチコアテストのように、すべてのコアがフルに動作することがないため、いずれも「Boxed Cooler」と「Tower Air Cooler」でパフォーマンスに差は出なかった。ゲームでの使用が中心で、同時配信なども行わないのであれば、ほぼIntelの公称設定通りである「Boxed Cooler」でも特に問題ないだろう。
「PRO B760M-P DDR4」では、電源回路にヒートシンクを搭載していないが、冷却性能が不足することはないのだろうか。そこでテストセッションのラストは「CINEBENCH R23」のマルチコアテストを10分間連続で動作させたときのMOSFET温度やPackage Power、消費電力をチェックしていこう。
「Boxed Cooler」では、テスト開始直後こそPackage Powerは100W前後、消費電力は160W前後まで上昇するが、1分弱でそれぞれ65W前後と130W前後まで低下し、MOSFETの温度も67.5℃までしか上がらなかった。また「Tower Air Cooler」でもMOSFETの温度は82℃で頭打ち。Package Powerも100W前後、消費電力も160W前後を常に維持することができており、スロットリングと思われる症状は発生していなかった。
「Boxed Cooler」アイドル時のサーモグラフィ | 「Boxed Cooler」高負荷時のサーモグラフィ |
「Tower Air Cooler」アイドル時のサーモグラフィ | 「Tower Air Cooler」高負荷時のサーモグラフィ |
またサーモグラフィでも電源回路の温度を確認してみたが、最高温度は「Boxed Cooler」が65℃、「Tower Air Cooler」が87.9℃で、ほぼセンサー通りの結果になった。このことから、リテールクーラーのような周囲の冷却もできるトップフロータイプのCPUクーラーを組み合わせてやれば、電源回路にヒートシンクがない状態でも冷却性能が不足することはないようだ。
今回はIntel B760チップセットを採用するマザーボードの中でも最安クラスに位置づけられるMSI「PRO B760M-P DDR4」の検証を進めてきた。最近では珍しいヒートシンクレスの電源回路ということで、発熱を心配する人もいるだろう。しかし、リテールクーラーのようなトップフロータイプのCPUクーラーを組み合わせれば、ミドルレンジのCore i5-13400ではまったく問題なし。「Tower Air Cooler」の設定でも動作クロックやPackage Powerが低下することなく、CPUの持つポテンシャルを引き出すことができた。
またメモリスロットも4本搭載され、高クロックメモリへの対応も抜かりなし。さらにコストを重視した製品では省略されることが多い、拡張スロットのメタル補強やM.2 SSDヒートシンクも用意されていることから、ミドルレンジのグラフィックスカードと、価格がこなれているPCI Express 4.0(x4)接続のNVMe M.2 SSDを搭載して、ゲーミングPCを構築するのも面白い。
ただし、高速なUSB 3.2ポートがUSB 3.2 Gen 2 Type-CとUSB 3.2 Gen 1 Type-Aの2ポートしかないのは残念なところ。内部ピンヘッダを使用しても4ポートしか使えず、実際の運用では不足する可能性が高い。「PRO B760M-P DDR4」を購入する場合には、合わせてUSB拡張カードの増設を検討したほうがいいだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社