エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1313
2023.07.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの有効スペースは、長さ490mmまで。さすがにこの空間を使い切る事はないだろうが、広く確保されていることでハイエンド志向のグラフィックスカードもゆったりと搭載できる。
なお既に触れたように、拡張スロットはツールフリー機構を採用。ネジレスでグラフィックスカードを固定することへの”若干の不安”は払拭できるだろうか。搭載テストには、GeForce RTX 4070 Founders Editionを用意した。
拡張スロットのツールフリー機構。プラスチック製の開閉カバーを開いた状態を拡大して見ると仕組みがよく理解できる |
カード長243mmのGeForce RTX 4070 Founders Edition。幅112mm、厚さ40mmで2スロットを専有。なおフロントパネルまでの空きスペースは実測で約291mmだった |
ツールフリー機構による搭載については不安なくガッチリと固定ができた。シャーシ側のピンに拡張スロット金具のネジ穴を掛け、これに合わせた凹凸がかみ合う事でネジレスを実現。2スロット以上の拡張スロットであれば「面」で固定できるため、よりしっかりと固定できるように感じた。
続いてこれを裏付けるべく、3スロットを占有するGeForce RTX 4090 Founders Editionの搭載も試みた。空きスペース含め、まったく問題なく搭載は完了。ハイエンド志向のグラフィックスカードがコンパクトに見えるほど、ゆったりと装着ができた。もちろん固定に不安はない。
カード長304mmのGeForce RTX 4090 Founders Edition。幅137mm、厚さ61mmで3スロットを専有。なおフロントパネルまでの空きスペースは実測で約230mmだった |
検証を終えて分かった、HAF 700 EVOにあってHAF 700になかった点を整理してみよう。
まずはフロントパネルデザインから大きく異なり、これに合わせて円形のLCDディスプレイを省略。さらにグラフィックスカードを垂直マウントできるグラフィックスカードホルダーとライザーケーブルも付属品から外れ、これだけでもずいぶんとコストダウンが図られている。Infinity Mirrorは装飾品なので気にならないが、フロントパネル裏のラジエーター/ファンブラケットは、冷却ファンのレイアウトの自由またはストレージ収納力に関わる部分なので、残しても良かったのではないか。
ともあれ、シャーシは共通筐体だけに内部容積を生かした高い拡張性と”Hi Air Flow”の名に恥じないエアフローレイアウトは、普及価格帯PCケースのそれとは比べものにならない。HAF 700 EVO検証記事では”スケールの大きなアメ車的”と評したが、やはりその印象は今回も強く残った。
ノーリミットなフルタワーPCケースは、例え需要が限られていても、無くてはならない存在であり、大型PCケースのベンチマークとして長く売り続けるべきだろう。そして機能を省略したHAF 700こそ、フルタワーPCケースの王道ではないだろうか。
協力:Cooler Master Technology