エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1313
2023.07.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは構成パーツを用意し、フルタワーPCケース「HAF 700」をベースにPCを組み込んでみよう。内部容積が広く、各PCパーツ間のクリアランスも十分に確保できているだけに、シンプルな構成で組み込むなら、これほど作業のし易いPCケースはない。さらにこれをアシストするのが、シャーシ側天板を取り外して開放状態にできること。狭い空間でコネクタを接続するといった事も無く、ドライバーも扱い易くなる。
なお作業にあたり、取り外し可能な外装パネルはすべて取り外している。ここは自作PCの基本に徹しよう。オマケにHAF 700の場合、ずいぶんと身軽になる。
まずはマザーボードを搭載してみよう。搭載テストにはASRock「B650E Steel Legend WiFi」(ATX)をチョイスした。HAF 700のマザーボードトレイには予め9本のスタンドオフ(台座)が装着済み。ここにマザーボードのマウントホールに合わせ、付属の#6-32*6mm screwでネジ留めを行う。
搭載後の周辺クリアランスをチェックすると、トップパネルまでが約135mm、フロントパネルまでが約290mm、ボトム部のラジエーター/ファンブラケットまでが約50mmだった。
搭載テストにはASRock「B650E Steel Legend WiFi」(ATX)をチョイスした |
マザーボードを組み込んだところで、CPUクーラーの有効スペースを計測する。いわゆるカタログ値は高さ166mmまで。これに対し、CPUの上にレーザー距離計を設置し、強化ガラス製左サイドパネルの内側にマーカーを貼り付けて計測すると、デジタル表示は167mmを指した。HAF 700 EVO検証時は実測168mmだったので、ほぼ正確な数値が得られている。
次にマザーボードトレイ背面から、CPUクーラーメンテナンスホールを計測すると、幅約210mm、高さ約145mmだった。Socket AM5のバックプレートはマザーボード備え付けだが、当然干渉することなく周辺クリアランスも確保できている。
次に電源ユニットを搭載してみよう。搭載テストにはATX 12V Ver. 3.0準拠のCooler Master「V850 Gold I Multi」(型番:MPZ-8501-AFAG)を用意した。外形寸法は幅150mm、奥行き160mm、高さ86mmで、135mmファンを搭載するフルモジュラータイプだ。
HAF 700の固定方法はユニークで、背面から上段左と下段右の対角線上にあるネジ穴のみをハンドスクリューで固定。上段右と下段左はシャーシ側の突起(ピン)をネジ穴に挿し込むだけのツールフリー機構が採用されている。重量がある電源ユニットを2本のハンドスクリューで固定する事にやや抵抗を感じるだろう。筆者もやや怪しげな印象だったが、実際に搭載してみると思いの外ガッチリと固定ができる。インチネジ4本をドライバーで締め付けて行く作業の省略は、負担軽減に十分貢献している。
電源ユニットの有効スペースは奥行き200mmまで。奥行き160mmのV850 Gold I Multiは問題なくクリアランスも確保できている |
電源ユニットを搭載したところで、おおよそ配線を済ませておこう。この時点で構成パーツは決まっているはずだから、必要なケーブルだけを用意し、電源ユニットに接続。HAF 700本体に配線済みのケーブル類もここで接続しておこう。
画像は一通りの作業を終えた状態だが、グロメット付きスルーホールを上手に使うことで、ケーブルの露出は最小限に抑える事ができた。組み込みのプロではない筆者でもこの状態に作り上げる事ができるのは、HAF 700のケーブルマネジメント機構が優れている証拠だろう。