エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1316
2023.07.24 更新
文:撮影・編集部 池西 樹
定番のベンチマークが一段落したところで、ここからは実際のゲームを想定した起動時間やロード時間をチェックしていこう。テストには各シーンのロード時間を計測できる「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」ベンチマークの他、「ELDEN RING」と「ホグワーツ・レガシー」を使用した。なお「ELDEN RING」と「ホグワーツ・レガシー」にはベンチマーク機能が実装されていないため、実際にゲームの起動時間とロード時間をストップウォッチで5回計測し、最大値と最小値を除いた3回分の平均をスコアとして採用している。
計測時にネットワークの影響がない「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」では、「RGAX」のロード時間は「MGAX」の56%~72%に短縮され、実際の転送速度の影響がスコアに大きく反映されている。また純粋なストレージ性能だけでなく、ネットワーク速度などの影響を受ける「ELDEN RING」や「ホグワーツ・レガシー」でも、「RGAX」の起動時間は「MGAX」の約85%に短縮されている。ただし、ロード時間については「ELDEN RING」で約10%、「ホグワーツ・レガシー」では約5%しか差がなく、体感ではほとんど違いを感じなかった。
ちなみにSteamでゲームデータの移動にかかった時間を計測したところ、「RGAX」では「ELDEN RING」(44.25GB)で約76%、「ホグワーツ・レガシー」(75.44GB)では約65%に短縮され、大容量のデータ移動では明らかに転送速度の差を感じることができた。
冒頭で紹介した通り、「RGAX」シリーズで採用されているコントローラRealtek「RTS5766DL」は高負荷時でもサーマルスロットリングが発生せず、安定したパフォーマンスを発揮できるよう調整されているという。そこでテストセッションのラストは「CrystalDiskMark 8.0.4」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回にして、3回連続で行うストレステストを実施して、その挙動を確認してみることにした。なお計測はヒートシンクなしの状態に加え、マザーボードに実装されている標準ヒートシンクを搭載した場合でも行っている。
「RGAX」シリーズでは、ヒートシンクあり、なしに関係なくアイドル時の温度は50℃半ばで推移し、温度センサーの数値はかなり高めに設定されている。またヒートシンクなしの高負荷時の温度は最高89℃まで上昇しているが、読込・書込ともサーマルスロットリングは発生しておらず、グラフの形状にも全く乱れはなかった。
そしてヒートシンクありの状態では温度は最高62℃で頭打ち。アイドル時との差も最大でわずか8℃しかなく、完全に発熱を抑え込むことができている。
ヒートシンクなし:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクなし:高負荷時のサーモグラフィ |
ヒートシンクあり:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクあり:高負荷時のサーモグラフィ |
続いて、サーモグラフィの結果を確認すると高負荷時には90℃台は当たり前、製品によっては100℃を超えるものもあるNVMe M.2 SSDだが、「RGAX」シリーズだと75.9℃でセンサーの数値に比べるとかなり控えめ。そして、ヒートシンクを搭載した状態では高負荷時でもほんのりと温度が上がっている状態で、発熱がかなり抑えられている事がわかる。
今回は、CFD初のRealtek製コントローラを採用するSSD「RGAX」「MGAX」シリーズを検証してきた。いずれもエントリークラスの製品と言うことで、最大性能を見ればより高速なモデルが多数存在している。ただし、CFDやRealtekが重視している安定性については謳い文句通り。特にシーケンシャルアクセスは両モデルとも非常に得意としており、常に安定したパフォーマンスが期待できる。
そして「RGAX」シリーズについては、NVMe M.2 SSDの弱点であるサーマルスロットリングによる速度低下も解消されており、大型のヒートシンクを搭載することが難しいノートPCや、NUCなどの超小型デスクトップPCの起動ドライブにオススメだ。
さらにエントリークラスながら2TBの大容量モデルが用意されているのも評価できるポイント。高品質なNANDフラッシュを採用するおかげで、低価格ながら書込耐久性やMTBFも高い水準を維持している「RGAX」「MGAX」は、大容量のデータ保存用ドライブとしても有望な選択肢になるだろう。
協力:CFD販売株式会社