エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1324
2023.08.16 更新
文:編集部/撮影:pepe
ここからは「ROG Swift OLED PG27AQDM」を実際にPCに接続して、その動作をチェックしていこう。なお検証用のPCには、WQHD解像度で最高240Hzの高速リフレッシュレートに対応する「ROG Swift OLED PG27AQDM」の性能を引き出すために、Intel Core i7-13700KFとNVIDIA GeForce RTX 4080を組み合わせたハイエンドゲーミングPCを使用。またPCとの接続には付属のDisplayPortケーブルを使用した。
有機ELの特徴でもある自発光するピクセルにより、液晶パネルを遥かに超える1,500,000:1のコントラスト比に対応する「ROG Swift OLED PG27AQDM」では、深みのある黒色や輝く白色の表現が可能。さらに一般的なsRGBは135%、デジタルシネマ向けのDCI-P3 は99%をカバーする広色域表示や、平均デルタE 2未満の色精度により、原色に忠実な色彩を表現できる。またパネル全体の均一性にも優れ、角度の変化に強いことから、斜めから見ても輝度やコントラスト変化を感じることはほとんどなかった。
そしてDisplayPort接続時はリフレッシュレート240Hz、応答速度は0.03ms、PlayStation 5やXbox Series Xなどのコンシューマゲーム機向けのHDMIでも120Hzの高速リフレッシュレートに対応。加えてアップススケール機能を活用すれば4Kの高解像度表示もサポートする。
「ROG Swift OLED PG27AQDM」には、画面上の明暗の割合が変わった場合に動的に輝度を調整して明るさが変わらないようにする「輝度均一化機能」が実装されている。OSDメニューから有効にすると、白いウィンドウの割合が多くなっても画面全体の輝度が変わらないように自動調整されるため、画面のギラツキを抑え、PC作業における目の負担を軽減することができる。
続いてレースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイ機能を使い、リフレッシュレート60Hz/120Hz/240Hzの映像の違いを確認していこう。テストではディスプレイ同期技術を有効化し、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
「ROG Swift OLED PG27AQDM」では公称値0.03msという超高速な応答速度により、リフレッシュレート60Hzでも残像感はごくわずか。撮影した動画をフレーム単位で確認しなければ判別するのは難しい。さらに240Hzではコマ送り感が減少し、スムーズに画像が更新されていることが分かる。オーバーシュートやゴーストといった破綻もなく、極めてクリアな画質はハイエンドに相応しいゲーミング体験を味わうことができるだろう。
有機ELパネルを採用することで、一般的な液晶ディスプレイを遥かに上回る0.03msの高速応答に対応する「ROG Swift OLED PG27AQDM」。そこで、今回は液晶ディスプレイでは最高クラスの応答速度(GtoG 1ms)を誇る「ROG STRIX XG279Q」を用意して、その違いを確認してみることにした。
今回はリフレッシュレートを120Hzに合わせて検証を行っているが、「ROG Swift OLED PG27AQDM」の方が、明らかにブレが少なく、動きの激しいシーンでも鮮明に映像を表示できていることがわかる。さらに240Hzの高速リフレッシュレートレートにも対応する「ROG Swift OLED PG27AQDM」は、一瞬の判断が勝負を分けるバトルロイヤルゲームやFPSゲームをメインにプレイするユーザーには魅力的な製品になるだろう。
テストセッションのラストはディスプレイ同期技術の効果を確認していこう。リフレッシュレートを240Hzに固定した状態で、動画の撮影にはリフレッシュレートのテストと同じデジタルスチルカメラのスーパースローモーション機能を使用している。
ディスプレイ同期技術をOFFにすると、画面が水平方向にせん断されたようなズレが確認でき、有機ELディスプレイでも液晶ディスプレイと同じくティアリングが発生していることが分かる。ただし、リフレッシュレート240Hzの環境では、わずか0.004秒の間に発生している現象のため、フレームレートを重視するならば敢えてディスプレイ同期技術をOFFにするという選択肢もあるだろう。
「ROG Swift OLED PG27AQDM」のもつ240Hz/0.03msというスペックは、全体を見渡しても27型WQHDクラスのゲーミングディスプレイとして最高峰のものだ。さらに驚異の応答性能や圧倒的高コントラスト、臨場感あふれる美麗な映像表現は、どれも一般的な液晶ディスプレイでは実現が難しい。一級品のゲーミング性能に加えて、ワンランク上のクオリティが味わえる有機ELならではの特性を併せ持ち、オールマイティに活躍できるポテンシャルを備えている。
機材を選ばない同期技術のサポートやキャリブレート済みで出荷されるトップクラスの色彩表現など、ディスプレイに求められる性能は全部入りに近い。さらにマイクロテクスチャコーティングやライティングプロジェクションといった、単なるスペック面に留まらない見やすさや映え効果に対する追求も抜かりなし。有機ELのアキレス腱である焼き付きにも万全の対策が施され、運用に不安はない。
高性能ゆえの“イカツい”価格設定はネックだが、最高の27型WQHDディスプレイとして、それ以上の満足度が得られること間違いなしの1台と言える。
協力:ASUS JAPAN株式会社