エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1325
2023.08.18 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからはより実際のゲームプレイに近い負荷をかけるため、長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークテストを動作させる。まずは「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークテストを動作させた際の挙動を見ていこう。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセットし、これまで同様に30分間ループで動作させている。
なおベンチマーク中における消費電力は、「3DMark」よりやや少ない625W。システム負荷率は40%未満だった。
特に12VHPWRで顕著だが、頻繁に差し込まれるロードのタイミングでアイドル時の電圧に戻るため、グラフの変動はだいぶ忙しく見える。ただし全体の変動幅をチェックすると、12VHPWRでも約1.3%の下振れを記録している程度。規格上で許容されている変動幅に対してかなりのマージンがある。
最後は長時間のループ実行に対応しつつより高負荷な「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを動作させ、「STP-1650M」の挙動をチェックしていこう。グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択。解像度は3,840×2,160ドットで、テスト時間はこれまで同様の30分間だ。
ベンチマーク中における消費電力は「FFXIV」からやや上昇し、負荷率40%に近い最大654Wだった。Ryzen 9 7950XとGeForce RTX 4090を組み合わせたシステムでのフルロード環境は、やはりこのくらいの負荷が一般的と言えそうだ。
例によってテスト開始・終了時に電圧の変動があるものの、負荷が続くベンチマーク中はそれをほぼ維持するといった傾向。変動幅も12VHPWRで約1.3%とブレが少なく、フルロード時の変動も微細な程度に留まっている。大きな負荷をかけられても常に一定の出力を維持できるという能力は、「STP-1650M」の信頼性を考える上で大きな材料になるだろう。
ATX 3.0対応かつ80PLUS PLATINUM認証取得の1500W以上というトップクラスの条件において、破格と言っていい価格で市場に投入される「STP-1650M」。あまりに安すぎる価格は不安を呼ぶ要素でもあるものの、動作の安定性はなかなかのもので、戦略的な価格設定として前向きに受け止めてよさそうだ。
日本の電力事情から最大容量を使い切れるわけではないし、12VHPWRの2系統出力を要求する環境というのも、コンシューマ向けでは想像しにくい。しかしどんな構成でも動かせる“最強の心臓”を組み込みたいという向きに、リーズナブルかつ信頼性も十分な「STP-1650M」は、見逃せない選択肢になるだろう。
そして価格だけでなく1000Wクラスのサイズ感に留まるショート筐体もまた、導入のハードルを下げてくれる要素。かなりの詰め込み具合から、検証時のファン稼働音はやや大きめに感じたが、PCケースに収めてしまえば気にならない。電力変換効率も80PLUS PLATINUM基準を上回る最大94%に達するとされ、Apexgamingが自信を持って送り出す最上位モデルとして、その立ち位置に相応しい完成度だ。
協力:LittleGiant株式会社
Apexgaming