エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1334
2023.09.12 更新
文:編集部 池西 樹/撮影:pepe
「Trident AS 13NUC7-493JP」では、最薄部約90mmのスリム筐体ながら、発熱源を3つのブロックに配置する「Silent Storm Cooling 3」や、CPUのパワーリミット値をチューニングすることで長時間高負荷状態が続くような処理でも安定動作を可能にしている。そこでストレステストを実行して、気になる冷却性能をチェックしていこう。なおCPUのストレステストには「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」を、グラフィックスカードのストレステストには「3DMark Speed Way Stress Test」を使用している。
テスト開始直後はPackage Powerが115W前後、Pコアのクロックも3.8~3.9GHzまで上昇し、CPU温度も98℃を記録した。しかし、Package Powerが65W前後、Pコアのクロックが2.8GHzに落ち着くと、CPU温度も82℃前後まで低下しており、バランスよくチューニングされていることがわかる。
続いてグラフィックスカードを確認すると、GPUクロックは2,700MHz前後まで上昇するにも関わらず、最高温度は71℃までしか上がらなかった。オリジナルデュアルファンクーラーと独自冷却システム「Silent Storm Cooling 3」により、冷却性能には全く問題ない。
高負荷時の騒音値は、アイドル時やグラフィックスカードのみに負荷がかかる状態ではいずれも40dBA以下で、デスク上に設置してもファンの音は気にならない。またCPUに負荷が掛かる「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」でも、騒音値は42.9dBAで頭打ちになる。デスク上に設置した場合、風切り音は聞こえてくるが不快に感じるほどではなく、冷却性能はもちろん、静音性も優秀だ。
ベンチマークテストの最後は消費電力を確認していこう。計測は冷却性能テストと同じ条件で行っている。
アイドル時はCPU、グラフィックスカードとも省電力機能が有効になるため60W以下まで消費電力が低下する。また「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」実行時は最高169.2W、Package Powerが65Wに移行したあとは110W前後で推移する。そして最も消費電力の多い「3DMark Speed Way Stress Test」実行時でも最高199.4Wで、容量500Wの電源ユニットに対して十分余力が残されている。
最薄部わずか90mmのスリム筐体ながら、第13世代Intel CoreプロセッサのハイエンドCore i7-13700Fと、最新世代のミドルレンジGeForce RTX 4060を搭載する「Trident AS 13NUC7-493JP」。パワーリミット値がやや緩めの設定のため、マルチスレッド処理では性能が伸び切らないシーンはあるものの、それでも先代ミドルレンジのCore i5-12600Kの無制限設定を大きく上回る。さらにゲームなどのシングルスレッド処理ではK型番のCPUに匹敵するパフォーマンスを発揮する。
またグラフィックスカードにGeForce RTX 4060を組み合わせたことで、最新超解像技術であるDLSS 3をサポートしているのも大きなメリット。レイトレーシングを有効にした状態でもフルHD解像度はもちろん、多くのゲームでWQHD解像度でも快適な動作が可能だった。さらにレイトレーシングにこだわらないなら、4K解像度でのゲームプレイも十分視野に入る。
そしてコンパクトPCで問題になることが多い騒音についても、独自冷却システム「Silent Storm Cooling 3」に加え、絶妙なチューニングにより配慮されている。実際、今回の検証はデスク上に設置してテストを行っているが、GPUのストレステストやゲーム系のベンチマークではノイズは全く気にならない。またCINEBENCH系のマルチスレッド処理ではCPUクーラーからのノイズが増えるものの、耳障りに感じるほどではなく、どのような処理でも騒音に悩まされることなく快適に使うことができるだろう。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社