エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1338
2023.09.25 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
エルミタで取り上げるMSIブランドのPCケースは、今回が7台目にあたる。2018年5月よりPCケースカテゴリに本格参入を果たしたMSIだが、そのスタイルは一貫してゲーミングPCケースだ。押しも押されもせぬ”PCパーツの総合メーカー”である事に誰も異論はないだろう。中でもハイエンド志向のPCパーツは、多くの自作派が手にしているハズで、同一ブランドで構成したPCを完成させたいというニーズも一定数存在する。そんなMSIフリークはもとより、熱心な自作派にご紹介したいのが、今回取り上げる「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW」なのだ。
MSI「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW」 市場想定売価税込23,980円前後(2023年9月22日発売) 製品情報(MSI) |
外観の宣材画像を見ると、明らかに魅せる要素を前面に出したイマドキのそれで、表現を変えれば”近頃流行のよく見るスタイル”だ。これをネガティブに捉えると「画一的」とひとくくりにされてしまいがちだが、MPG GUNGNIR 300R AIRFLOWは既存ラインナップの良さを数多く取り入れ、”非の打ち所がない”ミドルタワーPCケースに仕上げられている。
冒頭から期待を持たせ過ぎのきらいがあるのは、執筆段階で既に検証が一通り済んでいるから。これまでになく、事細かく書かれた資料を手渡され、その時点からMSIの熱意は十分に伝わった。ここから始まる検証で、それがどこまで伝えられるだろうか。決して100点満点ではないが、MSIが描く「理想にかなり近い」MPG GUNGNIR 300R AIRFLOWをじっくりご覧頂こう。
ここでラインナップを整理しておこう。国内市場向けプレスリリースは2023年9月15日に配信され、今回取り上げる「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW」に加え、カラーバリエーション「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW WHITE」の国内販売がアナウンスされた。市場想定売価はブラック色が税込23,980円前後、ホワイト色が税込24,980円前後と後者は1,000円ほど高い。
MSI「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW WHITE」 市場想定売価税込24,980円前後(2023年9月22日発売) 製品情報(MSI) |
ちなみにCOMPUTEX TAIPEI 2023のMSIブースレポート記事では、展示されていた「MPG GUNGNIR 300P AIRFLOW」を取り上げている。グローバルサイトには掲載済みの「300P」は、「300R」と共通仕様ながら標準装備の120mmファンがすべて非発光モデルになっている。立ち位置として廉価版とみるには性能差はなく、単に仕様違い。好みの問題といったレベルだが、エムエスアイコンピュータージャパン株式会社に確認したところ、現状一般販売予定は無く、可能性として組み込み用途等の導入は検討されているようだ。
COMPUTEX TAIPEI 2023のMSIブースレポートでは、バリエーションモデル「MPG GUNGNIR 300P AIRFLOW」を紹介した |
ここでは実機開封前に、スペック表からMPG GUNGNIR 300R AIRFLOWの製品概要を確認する。対応マザーボードはE-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITXとされるが、E-ATXはフルサイズではなく305x280mmまでの制限付き。近頃のミドルタワーPCケースは、マザーボードトレイ右手に空きスペースがあるため、多くはこのパターンだ。
筐体の主素材は0.8mmのスチールで、副素材にプラスチックおよび3mm厚の強化ガラスが使われている。これらの素材は、エリアごと(または各部品)に異なるため、主要部分は解説セッションで触れる事にしよう。
外装パッケージは実測で幅約320mm、奥行き約590mm、高さ約580mm。総重量は不明だが、店頭持ち帰りはカート無しでも行けそう |
外形寸法は幅235mm、奥行き505mm、高さ510mmで、内部容積は60リットルとされる。なお複数ある資料のいずれにも本体重量の記載は無く、積極的に開示しない方向のようだ。その他、各有効スペースはCPUクーラーが高さ175mmまで、グラフィックスカードが長さ360mmまで、電源ユニットが奥行き200mmまでとされている。実際のクリアランスについては、個別に解説していこう。