エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1338
2023.09.25 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからは冷却ファンとラジエーターの両搭載スペースにフォーカスしてみよう。MPG GUNGNIR 300R AIRFLOWは製品名からも読み取れるように、ラインナップの中でも「AIRFLOW」が設計のポイントに据えられている。ハイエンド構成のPCパーツが収納できるスペースの確保には、これに比例した高い冷却能力が求められる。良いPCケースと呼ばれるには、両者のバランスがあってこそ。MPG GUNGNIR 300R AIRFLOWはどのように折り合いを付けているのだろうか。
フロントパネルを外すと、スチール製のシャーシ側前面には3基の120mm ARGBファン(Mystic Light 対応)が標準装備されている。回転数等の詳細スペックは開示されていないがPWMに対応。ブラケット部分にはテーパーネジで固定されていた。
ブレードはホワイト色で、羽枚数は9枚。形状はユニークで、ブレード自体にはRを付けず、付け根部分を斜めにすることで角度を設け、エアフローを生み出そうという考えだ。
ちなみにブラケット部には120mmおよび140mmファン換装用のスリット(ネジ穴)を用意。140mmファン3基への換装も可能で、ラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズがサポートされる。ただし資料によると、25mm厚ファン+ラジエーターの有効スペースは80mmまでとされている。
フロントファンを固定するブラケット。シャーシ前面には上部2本のハンドスクリューで固定されており、簡単に取り外しが可能。特にラジエーターの搭載作業時などに利便性を感じさせてくれるだろう |
トップパネルに装着されている大判のダストフィルターを剥がすと、天板部のほとんどを占める通気孔が露わになる。パンチングメタルの通気孔に紛れるように整列するスリットは、説明するまでもなく冷却ファンおよびラジエーターの固定用ネジ穴。約45mmのスリットは120mmおよび140mmファン用のピッチで、120mmファンなら3基、140mmファンなら2基が搭載できる。
資料によるとラジエーター+冷却ファン用に確保されたスペースは80mmと記載されていた |
なおラジエーターは120/140/240/280/360mmサイズがマウント可能。フロントパネル部には120mm ARGBファンが3基標準装備されているだけに多くの場合、オールインワン型水冷ユニットのラジエーターはこの面に設置するパターンになるだろう。
CPUソケット真横に位置するリアファンは、出荷時より120mmファンが1基搭載されている。これはフロント標準装備品と同じARGBファン(Mystic Light 対応)で、PCケース内部に熱がこもらないよう、(イルミネーションで装飾しながら)常時排出を行う。
ネジ穴は約25mmのスリットタイプで、搭載位置の微調整に対応。140mmファンへの換装用ネジ穴も用意され、ラジエーターは120/140mmサイズをサポートしている。
フロント部同様、120mm ARGBファンを1基標準で装備 |
固定には一般的なテーパーネジを使用。140mm換装用ネジ穴(スリット)もアリ |
ボトムカバー天板はパンチング加工による通気孔仕様。この面には、120mmファン2基が増設できるネジ穴が設けられている。電源ユニットが広い範囲を占有するため、後方の通気性は著しく低下するが、グラフィックスカードへ向けての直接風を当てる、内部エアフローを意図的に活発化させるなどの用途は想定できる。
固定には付属の「Screw #6-32 30mm」を使用。よってフレーム厚は25mmになる |
マザーボードトレイ右手には、ケーブルカバーが搭載されている。ここには縦にスリットが設けられており、付属の「80mm/120mm fan mounting kit」が固定できる。
「80mm/120mm fan mounting kit」に80mmファン(オプション)を固定した状態 |
これは補助的な役割ながら、M.2拡張スロットに向けて常時風を当てようというもの。M.2 SSDの温度上昇を防止するギミックで、80mmまたは120mmファンが搭載できる。
取り外し可能なケーブルカバー。2本設けられたスリットの任意ポジションに「80mm/120mm fan mounting kit」がネジ留めできる |
なお設置に関しては、グラフィックスカードの延長線上になるため、両者の干渉には注意が必要。カード長は300mm以下にする必要がある。
M.2拡張スロット上空にエアフロー(風の道)を作る独自の冷却システム。後方には次に紹介する60mmファンが確認でき、吸排気能力を高めている |
のちほど詳しく紹介するが、MPG GUNGNIR 300R AIRFLOWにはグラフィックスカードを垂直にマウントできる「垂直GPUブラケット」が標準で装備されている。このスタイルで運用する場合、全4本の拡張スロット横には、60mmファン(15mm厚)2基が増設可能。ケーブルカバー部に設置した80/120mmファンとの組み合わせにより、直線的なエアフローが構築できる。
「垂直GPUブラケット」に固定した2基の60mmファン(15mm厚)。空きスペースを実用的に利用したアイデアは、M.2 SSDの熱問題からヒントを得たギミックだろう |
英語版資料には「ARGB Lighting Control Hub」と記載されている「ARGB & PWMハブ」は、マザーボードトレイ背面、CPUクーラーメンテナンスホール上部に標準装備されている。
最近のPCケースでは採用例の多いこの基板は、冷却ファンの電源コネクタとARGBコネクタを複数接続し、一括で給電および制御しようというもの。ARGB & PWMハブは、冷却ファン用4pinコネクタが6つ、ARGBコネクタが5つを装備し、それぞれ空きは前者が4つ、後者が4つだった。
冷却ファン標準装備数と空きコネクタ数が合わないのは、フロント3基の120mm ARGBファンの電源コネクタは、3分岐ケーブルに接続されて1つに集約、これにリアの1つで合計2つが使用中。ARGBコネクタについては、4つが2分岐仕様になっているため、これが利用できる計算。
なお冷却ファンの電源供給とARGB制御を有効にするには、SATA電源コネクタ1つを接続。基板右手から伸びる冷却ファン用4pin電源コネクタとARGBコネクタをそれぞれマザーボードへ接続する必要がある。