エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1344
2023.10.10 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
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ここからはよりゲームに近い負荷をかけるため、長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチマークを動作させてみよう。まずチョイスしたのは「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークテストで、グラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットにセットし、これまで同様に30分間ループで実行した。
なお、ベンチマーク中における消費電力は最大606W。電力変換効率で最も有利な50%に近付く余裕のある負荷で、この構成におけるオンラインゲームプレイ時の目安になるだろう。
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これまでの検証と異なりだいぶダイナミックなグラフになっているのは、ベンチマークのフェーズごとに頻繁にロードを挟むためだ。アイドル状態になる度に電圧が戻るため忙しなく見えるものの、全体の変動幅を見ていくとすべて1%未満。最も激しく変動している12VHPWRも上振れは0.8%未満、下振れも0.5%未満にすぎない。不規則な負荷がかかるゲームプレイ中でもシステムに負担をかけることなく、安定して動作させることが可能なようだ。
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同じく長時間のループ実行に対応したゲーム系ベンチから、最後はより高負荷な「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークを実行する。グラフィックス設定は「高品質」をベースに最も負荷がかかるように項目を選択し、解像度は3,840×2,160ドットに設定。これまで同様に30分間連続で動作させている。
ベンチマーク中における消費電力は、「FFXIV」からやや上昇して最大649Wだった。Ryzen 9 7950XとGeForce RTX 4090を組み合わせたシステムで重めのゲームを動かした場合、やはり600W~700Wくらいの負荷が一般的になりそうだ。
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多少のブレはあるものの、ATXとCPUはフルロード中の変動は微細であり、常に一定の電圧を維持できている。負荷に連動して動きを見せる12VHPWRもまた、変動幅自体は0.8%未満の上振れと0.5%の下振れに留まっている。すべての検証において変動は1%に満たず、厳格な電圧レギュレーションが設定されているようだ。
信頼性が第一の電源ユニットにとって、安さは必ずしも歓迎すべきアドバンテージとは限らない。しかし今回検証を行った「Hydro Ti PRO 1000W」は、さすが豊富なノウハウを蓄える老舗のプロダクトと思わせる、安定した動作を見せてくれた。
ともすれば野暮ったさを感じる飾り気のないデザインも、“電源の本分”である信頼性の前にあっては些細なこと。様々な要素を効率よく切り詰めつつ、中身にはしっかりとコストがかけられていることが窺える。コストパフォーマンスモデルという看板以上に、信頼できる電源ユニットであるということだ。
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これらを実現するコンポーネントをショート筐体に収める設計も技ありで、劣悪な環境でも動作するタフさは、ゲーマーをはじめハードコアなユーザーにとっても安心できる要素。さらに1000Wモデルの「Hydro Ti PRO 1000W」は、Lambda A++ 認証をクリアする抜群の静粛さも兼ね備えており、低価格ながらおよそ隙のない製品と言える。市場における新たな定番モデルとして、売れ筋に名を連ねても驚かないだろう。
提供:FSP GROUP Inc.
株式会社アユート